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「じゃあ、二階堂くんもうちの地元について来ればいいじゃん。」

冗談のつもりで、そう言ったんだけど。

二階堂くんはパッと顔を上げて、じーっと私の顔を凝視している。

…まさか、本気にとっちゃった?

「そうする。」

二階堂くんはやけにしっかりそう言うと、安心したかのようにふわりと笑った。

「Aの地元で就職するわ、俺。」









「ちょっと待って。
うちの地元に来たこともないくせに何言ってんの?
過疎化してんのに、就職先なんかあるわけないじゃん。」

「俺もAと同じ公務員試験を受ければいいんじゃない?」

「二階堂くんが受けたら、倍率上がっちゃうじゃん。
2人一緒に合格とか、奇跡に近いと思うんだけど。」

そう言った途端に、二階堂くんは難しい顔をしたまま床に仰向けに倒れ込んでしまった。

「…あーあ、もうわかんねー。
でも、Aと離れんのはやだ。」

そのまま瞼を閉じてしまった二階堂くんの、その頬に触れてみれば、あまりの熱さに驚いた。

けっこう酔っちゃってるよね?

ごめんね、困らせて。

でも私もいろいろ考えてるから。









私も真似して二階堂くんの隣に寝転がれば、自然に二階堂くんは腕枕をしてくれる。

「A…。
俺といて楽しい?」

って、自信なげな声で。

「楽しいよ。」

「じゃあ、幸せ?」

「うん、幸せ。」

「離れたくない?俺と。」

「離れたくない。」

「…俺も。」

さんざん質問攻めにした挙句、黙り込んでしまう。

何を確認したかったんだろう。

二階堂くんと付き合ってまだ少ししか経ってないけど、すごく濃い毎日だった。









「A…、もしかして俺、かなり酔ってる?」

「うん、酔ってる。
だって酔ってる二階堂くんが見たくて、いっぱい飲ませちゃったんだもん。」

「もー…。
見られたくなかったんだけど、こんな俺。
なんか超、情けなくない?」

はにかんだように笑うと、そのまま私を抱き寄せてくる。

床の上だから、微妙に背中が痛いんだけど。

でもそんなことが気にならないくらい、二階堂くんと並んでくっついてるだけで幸せなんだ。

一年後、私達はどうなってんのかな。

卒業を前にして、もう進路は既に決まってるはずだよね?

先のことなんて、どうなるかはわかんないけど。

大丈夫。

きっと私達は一緒にいるよ。

それだけはなんだか、自信をもって言えるんだ。









END

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わかめ(プロフ) - にかはるかさん» そろそろ話もいい感じに入ってきました(/ω\)今日も更新しましたので、是非、読んでいただければ幸いです(*'ω'*) (2018年4月18日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
にかはるか(プロフ) - 主人公ちゃん頑張ったー!にかちゃんどうするんだろ?ラブラブになれるかなー?!ドキドキがとまりません!! (2018年4月17日 4時) (レス) id: 3dfef49e61 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - チョコブラックさん» コメントありがとうございますm(_ _)mどちらも読んでいただけて幸せですー(*´∀`)♪ (2018年4月9日 23時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
チョコブラック(プロフ) - タマちゃんの方も読んだけどどっちも面白いし、読みやすい! (2018年4月8日 10時) (レス) id: e5c704bd79 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2018年3月21日 4時

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