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「遅い。」
「早く入って。」
ドアを開けると、
怯えたように見つめてくるAが目に映る。
そのときにはもう自分を見失っていた。
『っねぇ、どうしたの北斗っ、』
細い腕を掴んで部屋の中に引きずり込むと、
知らない香りが鼻をかすめる。
「本当に今まで大学にいた？」
甘いバニラの香りだった。
『…本当だよ。電話でも言ったでしょ、』
わかりやすく揺れる瞳。
そんな顔、誰に見せてきたの？
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君は気づいてないだろうけど、
“京本大我”
相当な策士だよ。
.
深く息を吸うと、彼女のバッグから強く漂うその香り。
…移ったなんてレベルじゃない。
意図的につけられたものだとしか思えなかった。
「なんか甘い匂いがする。」
そう呟くと予想通り目を泳がせる彼女。
男物の香水を纏いながらそれに気づかないなんて、純粋すぎて心配になるよほんと。
｢香水変えた？｣
不毛。
｢それにこんな時間まで大学にいたの？｣
無意味。
｢そういえば電話したとき、やけに静かだったよね？｣
全部わかってるんだから。
.
「震えてるけど、唇。」
赤く染まったそれを親指でなぞると
静かに零れ落ちる一筋の涙。
『…っごめん、なさいっ』
その表情が男の加虐心を煽るって、どうしてわからないかな。
.
｢嘘なんてつくものじゃない、でしょ？｣
続く (更新停止中)
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なお(プロフ) - 初めまして！一気にお話を読ませて貰いました。世界観がすごく好みで何回も読み返してます。もし良かったら、また続き書いて下さい！！ (2023年4月30日 18時) (
レス) @page7 id: 261fdaec11 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - とても楽しみに拝見しています！続きが気になります🥹 (2022年12月2日 14時) (レス) id: dd34438827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：渓徳 | 作成日時：2022年11月26日 19時
