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“俺、Aちゃんのこと気になってるみたい。”
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その日、私は空き教室で彼を待っていた。
ゆっくりと近づく足音に手が震える。
「何？話って。」
机に腰掛ける北斗は、いつにも増して気だるげ。
『あのさ、』
『私たち、距離置こう？』
「…あー、そういう話ね。」
ふっ、と吐き捨てるように笑う北斗。
「理由は？」
『北斗といるときの自分が、嫌いなの。』
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出会ったときから
冷たさの中にある人間らしい部分に惹かれていた。
口下手なところも不器用なところも全部好きで、私には北斗しかいないって、本当にそう思ってた。
でも、彼と一緒にいるときは
自分が自分じゃないみたいで
息がしづらくて、苦しくて。
…もう限界だったんだと思う。
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しばらく続いた沈黙。
口を開いたのは北斗だった。
「いいよ。」
予想外の返答に思わず顔を上げる。
こんなに簡単に話が終わるなんて思っていなかったから。
別に自惚れている訳じゃない。
今までの北斗なら、こんなことを許すはずがなかった。
あまりの呆気なさに違和感が募る。
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「すぐに戻ってくると思うけどね。」
去り際にそんな呪縛のような言葉を残していった北斗。
私を見るその目には光がなくて、
恐ろしいとさえ思った。
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なんとなく心が落ち着かないまま構内を歩いていると、誰かに後ろから肩を叩かれる。
「見つけちゃった。」
『…大我さん。』
包み込むような柔らかい笑顔に高鳴る胸の音。
「Aちゃん、」
『…はい。』
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「俺、Aちゃんのこと気になってるみたい。」
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作者名：渓徳 | 作成日時：2022年11月8日 0時
