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｢ぁ…あ、｣
朱色の涙が目尻を伝っていって、
彼は浅い呼吸を吐く
｢いのちゃん、｣
｢…だ、いちゃ｣
｢痛いよね、ごめんね、ごめんねっ｣
こんなにしたのは自分なのに
涙が止まらない
ごめん、伊野ちゃん
これはただの嫉妬
全部俺が悪いなんてわかってるよ
でも我慢できなくて
俺が一番薮くんを好きなのに
薮くんの一番はなんだって伊野ちゃんだから
ぱたぱた 小さく響く音が止まって
ガラリと鳴くドア
｢伊野尾帰ろーぜっ、… え｣
｢や、ぶ｣
｢伊野尾っ！！… 大ちゃん、何してんの？｣
やっと俺を見てくれたのに
そんな目で見ないでよ、
｢薮くん…まだ伊野ちゃんの顔、綺麗？｣
｢何言ってんだよ、これ…お前、｣
｢だって薮くんが伊野ちゃんばっか、っあ、！｣
頬が熱く痛む、
唇を手の甲で拭うと伊野ちゃんの血と
俺のが混ざり合った
⠀
｢やぶ、っ… たすけて、｣
｢病院行こうっ、｣
俺を殴った手で
今は伊野ちゃんを抱え込む
｢なんで、｣
｢あ？｣
｢なんで伊野ちゃんばっかり、｣
｢お前っ、… 頭おかしいよ｣
行こう、
伊野ちゃんを腕に抱えて背を見せる彼
｢…た、に｣
なんでだよ
｢ぐちゃぐちゃにしたのになんで！
なんで俺を見てくれないの！！｣
ドアの前で振り返った視線
すっかり温度を無くしたそれ
｢やぶく、ん｣
そんな目で見られたいわけじゃないのに
いつもみたいに笑ってよ、
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お姫様を抱えながら去る貴方は
さながら王子様、
｢ふざけんな、｣
そんなぐちゃぐちゃになってんのに
まだ一番はそっちかよ
｢ふざけんな｣
床に溜まる血を踏んで、
滑る上履きを走らせる
そこには物語の主役達がいた
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ていけい(プロフ) - 茶さん» コメントありがとうございます！このやぶひかは愛すべき外道って感じで私も好きなんで嬉しいです！更新頑張りますっ！ (2019年2月10日 18時) (
レス) id: 08359d0c66 (このIDを非表示/違反報告)
茶(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます、どのお話も魅力的でとても面白いです！特に、とくべつじゅぎょう、一味徒党のゲスいやぶひかに捕まっちゃったやまけとがとてもドストライクでした！これからも作品楽しみにしています！ (2019年2月10日 17時) (レス) id: e7387b985b (このIDを非表示/違反報告)
ていけい(プロフ) - まことさん» コメントありがとうございます！続編は迷いどころですが…考えてみます笑 (2019年2月10日 15時) (レス) id: 08359d0c66 (このIDを非表示/違反報告)
まこと(プロフ) - 一味徒党ものすごく好みな作品でした！！この後、どうなったのかすごく気になるので、いつか続編出るのを楽しみに待ってます笑笑 (2019年2月10日 2時) (レス) id: 917c761e26 (このIDを非表示/違反報告)
ていけい(プロフ) - りよりゅなさん» コメントありがとうございます！続編書いてみちゃったので宜しければぜひ！笑 (2019年2月10日 1時) (レス) id: 08359d0c66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ていけい | 作成日時：2018年10月26日 0時
