すべて、まっしろになるから (ページ45)

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「湧のこと大好きだから、湧を縛り付けたくなかった。」

小さい頃からずっと湧が好きだったんだよ？呆れるほど一途だよね笑

その自分を嘲笑いたくなるような気持ち痛いほど分かるよ。

俺も香織に呆れるほど一途だから

「湧から離れなきゃって思ったの。死んでも湧を縛り付けるのはいやだったから。」

切なすぎるよね？

想いを寄せる人がこの世にもう存在しないのは。

「風の噂でこんな私のこと好きだって言ってる人がいるって聞いたの。」

颯「それが深田？」

そうだよ。とAは頷いた。

「最低でしょ？深田くんを利用したの。」

湧のために恋人を作ったの。湧が私が死んだあと香織と生きていけるように。

この子はとっくの昔に自分がこの世からいなくなることを覚悟してた。

まだ俺たちは誰も覚悟なんてできないのに。

「胸がチクチク痛むと思った。またあの時みたいな気持ちになると思った。」

「だけどね、っそれ以上に深田くんといることが楽しくなってった。」

この世を去る準備をしないといけないのに、

「深田くんのこと好きになっちゃった、っ、深田ともっと一緒にいたいって思うようになっちゃった、っ、」

死にたくない、と震えた声で言ったA

そんなAの願い事を叶えられないなんて神様のいじわるだ。