闇だけが教えてくれる強い光 (ページ49)

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川野side

〈先生、お客様がお見えです。〉

医局で論文を書いてたら師長が呼びに来た。

川「誰か約束してたっけ？」

〈いえ、五十嵐様がお見えです。〉

ついに来たかって感じだった。Aさんをついに見つけてもらった。

川「応接室にお通しして、すぐ行く。」

AさんのカルテやMRIのデータを確認して医局を出る。

川「失礼します。」

五十嵐さんは僕が入ってきた瞬間、頭を下げた。

H「娘がこちらの病院にお世話になっているというのは本当ですか、？」

川「はい。Aさんの担当をしてる川野です。どうぞおかけください。」

ここの病院にお世話になっていることは後輩に聞きました。

一番最初に会うのは僕じゃないって。

H「Aの病気のことは知ってったんです。」

休みの日に脊髄小脳変性症の研究をしてる方や専門医の方にお会いしたりして

H「妻も私も覚悟はしてました。でも、いざ情報を掴んだら、娘が病気な訳がない。娘はどこかで踊り続けてるって思いたかった。」

川「まずはAさんの病気を受け入れることが大切です。なんてご家族に黙っていることを見逃していた私が言える立場ではないですけど。」

様々な専門医に会ってきたという五十嵐さん。Aさんの病気の概要は理解していると思う。

川「Aさんは現在、自律神経系にも症状が出ていて、急に血圧が下がったりしたり、硬直といった症状が出ています。

言語機能にも徐々に症状が出始めて近いうちにコミュニュケーションを取ることも難しくなると考えられます。」

しっかりAさんと言葉を交わして話せる時間はもう限られてます。