闇だけが教えてくれる強い光 (ページ45)

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病気になって5度目の春が来た。

〈Aさん、桜が満開になってますよ。今日は少し外に出てみませんか？〉

「そうだね。桜の下で飲むビールは最高だろうなー」

相変わらずの酒好き。今年32歳。

〈主任に聞いてきますね。〉

みんなの前から消えて4年。

ついにひとりで日常生活を送るのは難しくなって、ついに施設生活になってしまった。

今は支えてもらって歩けるのがやっと。

ダンスなんてもうできない身体になってしまった。

ほぼ車椅子に頼りきりの生活になった。

今は電動車椅子をなにも不自由なく動かせるけどそのうち車椅子のレバーすらも握れなくなるだろう。

できることが少なくなっていく。

お風呂もトイレも人の助けがいるようになって尚更思う。

あの時にみんなから離れたのは大正解だったと。

こんなことさせたくない。

〈主任があとでビール持っていきますって笑あと10分で退勤時間らしいです笑。〉

ここの施設はやりたいことをやらせてくれて勤務時間を終えたスタッフさんとよくお酒を飲んでる。

「雪ちゃんもまた一緒に飲もうね。笑」

少し前に入ってきた介護士の雪ちゃんは私専属のお世話係になってる。

〈ハイボールですね。笑〉

「さすが雪ちゃん。笑」

車椅子から立ち上がって歩くのを支えてもらう。

少しでも自分の足で歩きたい。

杖を握る力がなくなってきたからもうすぐこの杖も使えなくなるけど。笑