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〈森田さん、お久しぶりです。〉
長野での公演が終わった翌日、私は病院に来てた。
「先生、あの時は逃げてすいませんでした。」
〈あなたは強い人ですね。目が病気と闘ってやるぞって物がっている。〉
「ツアーが始まる前に病気を受け入れることは出来なかったけど、なんとかやっと向き合うことが出来ました。」
受け入れたのはツアー初日が終わった夜だったけど。
病気は進行している。
ツアー中も進行は止まってくれない。ツアーをやりきるために病気と向き合わなきゃいけない。
逃げてたままだとパーフォーマンスに影響が出る。
「どうしても、1日だけは病気のことを忘れて自分のパーフォーマンスをしたかった。」
GENEはここまで来たんだよ。ありがとうっていう気持ちだけでパーフォーマンスをしたかった。
多分、あの日が最高潮だった。
「ずっと初日でよかった。前になんてこれ以上進みたくなかった。」
でも、私以外のメンバーはここから何倍も光り輝くんですよね。
「初日思い切り叫びました。『死ぬまで踊り明かしてやるー』って。」
叶わない約束をファンの前でしちゃいました。
きっと1年後の自分は踊れなくなってるとか考えないで。
「それでファンのみんなが歓声を上げてくれました。」
あぁ、この人たちに私は求められてるって。それを感じた時胸が熱くなって、
「まだ踊りたいって。叶うならメンバーとずっと、
先生、こうしてる間にも治療薬の開発は進められてるんですよね。」
〈はい。その通りです。〉
「私がダメになる前に元に戻る薬ができるって信じようって決めました。」
少しでもダンサーでいれる時を伸ばして、そして病気が治る可能性を信じよう。
「私はこの10年で変わりました。10年って予想もしないことが起こるんですよ。笑」
〈森田さん、いやAさん僕は絶対Aさんを10年後も20年後もAさんが1番輝ける場所にいれるようにサポートします。〉
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作者名：ゆさ
| 作成日時：2024年1月8日 23時
