いろんな話がありました (ページ20)

今日:1 hit、昨日:11 hit、合計:15,077 hit

･ページ20

湧side

莉子の言う通りだよ。

俺にこの心臓とともに生きる資格なんてない。

もしこの心臓が俺の元にこなかったらAはまだ生きてたかもしれない。

そう考えると自分が恐ろしくてたまらない。

『おおきくなったらママみたいになるの！！』

『お母さんと同じ夢また追いかけることにしたよ。』

『湧の病気絶対治してあげるからね！！』

なぁ、Aそういうことじゃないだろ？

自分の命を犠牲にしてまで人を助けるってなに？

お前が命を削ってまで救えた命もお前がいなきゃ意味ないだろ？

『助けてくれてありがとうございます』って誰に言うんだよ？

お礼を聞かずにお前は去るって言うのかよ？

ほんとにずるいよ。お前は。

莉子と颯太が帰ったあと俺は息をするのを忘れるくらいに泣きわめいた。

息が苦しくてあの時もこんなふうに呼吸できなかった。

俺は何度も自分の胸を強く叩いていた。

苦しくて、痛みでこの苦しさを紛らわせたかった。

そんなの一生紛れないと知ってるのに。

このまま息ができなくなって

遠すぎる君のもとへ行けるのかななんて思っていた。

それならそれでもいいと思った。