乗り越えてゆけるはず進んでゆけ (ページ21)

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尚大side

『みんなの邪魔にならないように踊るから！まだできる！！』

Aの病気は残酷なものだった。

Aの全てだったダンスをいとも簡単に奪っていった。

振付師さんに言われるとっくの前にA自身、もう限界だと分かっていた。

涙を流しながら毎日踊ってるのを見てきたから。

もう思うように動かない足を必死に動かしながら踊ってるのを毎日見ていたから。

Aはダンスができなくなった時だけ泣いた。病気が分かったときでさえ泣かなかったのに。

どうしてもダンスは病気に取られたくない。たとえ、みんなと踊れなくてもダンスはしたい。

それだけダンスのことが大好きなのになんでこの子からダンスを取り上げるのかって何度も思った。

『ごめんなさい、ちょっと頭冷やしてきます。』

湧の胸でひとしきり泣いたあとAはそう部屋を出ていこうとした。

尚『A！！ダンスだけは嫌いになるなよ！』

と思わず言ってしまった。そしたらAは

『ありがとう。尚大。』

そこからAは後輩たちの指導にシフトチェンジをした。

「また自由に踊ることができてよかった。」

とAは幸せそうに言った。