ソクバク

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隆弘side







『 話って……何かな？ 』








そう言って、おそるおそる俺を見上げる姿も
可愛いだなんて思ってしまう。




わかってるんだよな？なんの話かなんて。









隆「 なんで……俺のこと避けるの？ 」



『 避けてなんか……ないよ。 』



隆「 避けてるじゃん……
俺のこと嫌い？ 」



『 嫌いじゃない……
隆くんこそ、どうしてあの日…… 』








言うんだ、俺。



ちゃんと、" 好きだ " って。








隆「 俺はっ……その…えっと…… 」






何年もずっと好きだったって。



上手い言葉の初めが見つからず
柄にもなく、しどろもどろになる。









『 いいよ……忘れる。
来週からツアーだし、お互い集中
しないとね！ 』




隆「 えっ…… 」



『 第一、私もちょっと酔ってたし！
あんまり覚えて……ない…よ？ 』









本当なのか…？



Aは、一夜限りのつもりだった？



舞い上がってたのは、俺だけ？



彼女の顔を見ることなんて出来なかった。



もしかして、他に好きなやつでもできた？



俺との微妙な関係を終わらせるために
あの日は寝たの？









隆「 そっか……そうだよな。
迷惑かけてごめんな。
これからも……メンバーとして、
仲良くしてほしい。 」







俺、ちゃんと笑えてる？








『 それはもちろん！
……呼び方も、やっぱり戻すね？
にっしーの方が落ち着くし。 』









Aの綺麗な声が
俺の心に突き刺さった。




もう、隆くんって呼んでくれないの…？



俺、それめちゃくちゃ好きだったんだよ？



みんな、にっしー呼びだから、
下の名前で呼んでもらえるの
嬉しかったのに……








『 あ、私今日家に荷物届くんだった！
もう帰らなきゃ！
じゃあね！お疲れ！ 』








急いで帰ってしまった。








隆「 なんでっ……！！ 」








テーブルを思い切り叩く。



好きすぎて……好きすぎて。



気持ちを伝えるのが怖い。



なんでさっき、言わなかったんだろう。









隆「 A…… 」





君の残していった、ほのかな香水のかおり。



俺の大好きな匂いだった。

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