運命(ymin) (ページ7)

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3日目.海ページ7

そして次の日、彼はいつもと違う格好だった。ただ、水着には見えない。

俺はと言うと私服の下に水着を履いて、その時用のTシャツも用意したのに。

「けーい?」

「あ、やっと来た。」

海に入るのなら、ということで小さいブルーシート的なものとタオルを持ってきた。

慧は細くて白いけど海は好きらしくて、俺が用意している間も早く早くと急かしてくる。

あれ、いつ指輪を渡したらいいんだ…？

一昨日の静けさが嘘のように、昨日,今日は海水浴客が沢山いる。
もし指輪を盗まれたら、と思うと不安で、車に置いておくことにした。

「慧、ちょっと車行ってくるから待ってて？帰ってきたらすぐ海行けるから。」

不満そうな顔をしていたけど、渋々承諾した慧。
かわいいなあ、なんて呑気に思っていたけど、それよりもっと心配なことがあった。

「あ、俺以外に話しかけられても全部断ってね？男も女も。もし危険そうだったら、人がいるところに走って行って？絶対だよ？」

そう、ナンパだ。
ナンパされてそのままついて行ってしまい危険な目にあったら、なんて考えただけで恐ろしい。

「わかった。」

まだ少し不服そうだけど、仕方ない。

「じゃ、行ってくるから。」

なるべく早く帰って来るためにダッシュする。

慧のもとへ帰ると、シートに座って貝殻をいじっていた。

「お待たせ、入ろっか。」

「やっとだ笑」

最初は浅い所で水をかけあったりしていた。けど…

「ねえ、もっと深いところに行こうよ。」

なんて言うのだ。

「服濡れちゃうよ？」

「脱げばいいじゃん。」

慧の上裸(かどうかは分からないけど)が見れるのは嬉しい。

けど俺、
「泳げないんだけど。」

「え？」

「なんか、ごめん。」

あははっと笑ったかと思ったら、見た目に似合わず大笑いされた。

泳げないの？まじで？と1人で大笑いしている慧を無理矢理シートのところまで連れてきて、一旦落ち着かせる。

「だからさ、1人で入ってきてよ。」

「大丈夫、そんなに深いところまで行かないし。
それに溺れそうになったら俺が助けてあげる。」

「無理だよ、慧の方が細いし。」

「大丈夫なの。」

確かに人魚姫は王子を救っていた気がしたけど、人魚じゃない可能性の方が高いわけだし。

それでも、慧に流されてしまった。

「ちょっとだけ、なら。」