運命(ymin) (ページ4)

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『LINEも消す。貰ったプレゼントも返そうか。』

「いらない。」

『そう、じゃあ。』

そして俺は気づいてしまった。

あいつが笑っていたことに。その笑みの先に俺の知らない男がいた事に。

「ちょっと待てよ。嘘つくなら、もう少しましなのつけない？」

『は？』

「男がいるんだろ？別れ話をして、そのままそいつとホテルにでも行くのか。
完璧な彼氏がいるのにまだ欲しがるような強欲な女はこっちから別れてやるよ。」

久々に本気でキレた日だった。

途中から、自分が何を言っているのかよくわからなかった。わかりやすく言ってあげなくてはと思っていたのに。

「ごめんね、意味、わかんないよね。」

「うん、でも涼介は悪くないってことだけはわかるよ。」

「でも俺、怒りに任せて自分のこと完璧だって言った。女性を傷つけたかもしれない。」

「それを言わせたのは、彼女でしょ？」

「え…？」

「彼女が涼介以外の人といたから、涼介は彼女を愛していたからそんなこと言ったんでしょ？」

「涼介は、なにも悪くないよ。」

「悪くない、の？」

「涼介が優しい人だってこと、会ったばっかりだけどわかるから。」

ふと、背中に温もりを感じた。

「慧？」

「心が痛い時は、こうやってしてあげるの。そうしたら、少しは良くなるでしょ？」

「慧っ」

バックハグされている形から、振り返って抱きしめた。

夕日が海に沈んでいく時間。
俺達は、波の音だけを感じながら抱き合っていた。

いや、俺の泣く声も聞こえていたのかもしれない。

涙で視界が歪んでも、涙を拭おうとしなかった。

絡めている手を解いたら、消えてしまうような気がして。

どのくらいそうしていたのか分からないけど
、1つの正解に辿り着いた気がして、声に出さずにはいられなかった。

.

「慧、愛してる」