【刀剣乱舞】審神者？いやいや、私は補佐役だよ

36.錠剤が十六錠 ページ36

「お待たせしました！
ご注文のケーキセットと、
ハニーレモンパフェです！」


貴方『嗚呼、ありがとう。
じゃあ山姥切君、私達も……山姥切君？』


ふと彼を見ると、珍しそうに

目の前の甘味に目を奪われていた


山姥切「(ﾊｯ)な、何だ」


貴方『いや、私達も頂こうって…』


山姥切「そ、そうだな」


そう言って、誤魔化す様に

パフェを一口掬って口に入れた


すると目を輝かせて、背後から桜が舞った


山姥切「！…旨いな」


貴方『それは良かった！…それにしても、
君は美味しそうに食べるね』


山姥切「？食べている物が旨いから、
そう見えるだけじゃないか？」


そう言って一口、また一口と

口にパフェを運んでいく


貴方(あれ…？)


そんな彼を見て、私はふと

あることが頭に浮かんだ


山姥切君が食べているパフェは、アイスの上に

蜂蜜のソースと蜂蜜漬けの檸檬がのっている


窓からの僅かな光で、

檸檬と蜂蜜は黄金色に輝いていた


貴方(あ…この色、山姥切君の髪色と同じだ)


布の合間からﾁﾗﾁﾗと見える髪と、

檸檬を手に取って見比べる


山姥切「…今度は何だ」


貴方『いや……君の髪、綺麗だなと思って』


山姥切「なっ!?きっ、綺麗とか言うなっ！」


貴方『ふふ、分かったよww』


少し褒めれば顔を赤くする


いやー、見ていて飽きないね


山姥切「……」


貴方『ん？どうしたの？』


山姥切「……あんたが正しいのかもしれないな」


貴方『え、何？いきなり』


山姥切「さっきのことだ。
確かに俺は写しだ。だが、
そんな俺をあいつらは認めてくれてる。
…俺は、最初から決めつけていたのかもな。
｢写しだから｣とか｢本物より劣ってる｣とか
否定されることを」


貴方『…そうかもしれないね』


彼は「俺は俺だ」とか言うわりに、

自分を否定する様なことばかり言う


存在や価値を否定していたのは、

彼自身だったのかもしれないね


山姥切「こうやって気付けたのも、
あんたのお陰だ。……その…ありがとう」


貴方『いやいや、私は何もしてないよ。
答えを見つけたのは君自身さ。
さて、もう大丈夫かい？』


山姥切「あぁ。あいつとは一度、
ちゃんと話してみる」


貴方『よし、その調子だ！
おっと、そろそろ行こうか』


山姥切「そうだな。
…ありがとな、恩人」


貴方『！…ふふ、どういたしまして』



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