柘榴が四十粒 ページ42
貴方『…私は、精市と共に居たいです』
そう呟いたAを、デメテルは静かに見つめた
そしてヘスティアはゆっくりと語り掛け、その理由を聞き出した
貴方『私は数百年と生きて、初めて恋というものを知りました。その人から目を逸らせなくなり、見ていると胸の奥が仄かに熱くなって……初めての感覚だった。…悔しいが、初めてゼウスの言う事が理解出来たような気がしました』
Aはそう言うと幸村の方に視線を向け、幸村は少し顔を赤らめて目を逸らした
そしてAはヘスティアの方に向き直ると、こうも言った
貴方『ですが私は、精市を冥府に繋ぎ止めたくはありません』
ﾍｽ「あら…それは何故かしら？今は冥府も賑やかになったでしょう。精市君だけじゃなくてAちゃんも柳君達も居るわ。もし精市君が婿入りしても、寂しくはない筈よ？」
貴方『ッそういうことではないのです姉上!!!』
Aはヘスティアの意見に前のめりになって否定すると、膝の上で拳を強く握り締めた
それこそ、血が滲む程に
貴方『あの世界は暗く、陽の光など殆ど入らない。冥界に来たばかりの者はそれだけでも参ってしまうのに、無理やり家族から引き離せば、それこそ精市が壊れてしまうかもしれません！…家族から離される辛さは、私もよく知っています。私は精市に、そんな思いをして欲しくないのです…!!』
そうAは目に涙を浮かべながら叫ぶ様に言った
実際に最愛の姉達から引き離され、数十年の間だったとはいえ、暗く孤独な地下に一人きりで居る事を強いられたAだからこそ言えるのだろう
そんなAを見て、ヘスティアは困ったような顔をした
ﾍｽ「あらあら…泣かないで、Aちゃん。…ねぇ、Aちゃん。もし精市君が冥府に住まずに済んで、貴方に一生会えないってなっても貴方は後悔しない？愛しているのなら、閉じ込めたいと思わないの？」
貴方『…多少は思います。精市を、私だけのものにしたいと。ですがそんな身勝手の為だけに、二度も精市を悲しませたくありません。本当に愛しているが故に、そう思うのです』
そう言いきったAに、ヘスティアとデメテルは安堵の表情を浮かべた
ﾍｽ「…そうなのね。じゃあ、次は精市君に聞いてみましょうか」
ヘスティアはそう言うと、今度は幸村に視線を向けた
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死音心音2.0(プロフ) - 仁王彩香さん» コメントありがとうございます!!はい、これからも頑張らせていただきます!! (2020年5月23日 14時) (
レス) id: 2a5e77e557 (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - 初めまして作品見ました^ - ^続きの更新頑張ってください！！ (2020年5月23日 12時) (レス) id: 9f5e24e49c (このIDを非表示/違反報告)
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