柘榴は三十三粒 ページ35
暫く泣き続け、幸村の目から漸く涙が止まった
幸村「はぁ……これからどうしよう…」
自分の気持ちに気付く事は出来たものの、やはり問題解決には至らず、幸村は溜息をついた
幸村「…此処に居ても仕方がない。とりあえず、何処か別の所に行こう」
幸村はスっと立ち上がり、柳の部屋を後にした
然し客室には戻らず、Aと談笑を楽しんだ中庭へと足を進めた
これには少しばかり理由がある
デメテルが幸村の帰還を望んでいるとAの耳に入れば、Aはきっと幸村に帰るよう言い渡すだろう
そしてAから直接そう言われれば、好きな人を困らせたくないと幸村は思い、素直に帰ることになる
もしそうなるのなら、見納めにAが愛した花達を見ておこうと思ったのだ
幸村「…此処にくるのも、これで最後になるのかな」
幸村はそう呟くと、近くの長椅子に腰掛けた
目の前に広がるのは、最初に来た時と変わらない日の光を浴びて咲き誇る花々
そしてその蜜を吸いに来る蝶達
これを見るのも最後かと思うと、幸村はまた表情を曇らせる
するとその時、一人の人影が幸村の視界に現れた
ふと俯いていた顔を上げると、その人影は幸村に人の良さそうな笑顔を見せた
ｱｽ「こんにちは、精市様」
そう、アスカラポスだ
あの大して仕事もしない癖に給料をせび…おっと失礼。そんな割とクズい給料泥棒な冥府の庭師だ←
幸村「あ、こんにちは…えっと、貴方は確か」
ｱｽ「庭師のアスカラポスです。それで、精市様はどうして此処に？」
幸村「…実は……」
幸村は自分が落ち込んでいる理由や、デメテルが自分を返すよう柳からAに伝えるよう命じたことをアスカラポスに話してしまった
そしてこのことを聞いて、アスカラポスは考えた
ｱｽ(待てよ？確か前に、A様は精市様が好きだとかなんとかっていう話を聞いたような……今ここでこの方を冥府に留めることが出来たら、A様は俺に借りが出来る。てことはだよ？それの礼としての給料アップや謝礼金が期待できる…！)
なんて邪な事を考える奴なんだ
あろう事か、アスカラポスは主の恋心を利用して幸村を引き留める事の対価を想像した
主の恋を応援するどころか、逆に自分の利益の為利用しようとするなんて…
汚いなさすがアスカラポス汚い←
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死音心音2.0(プロフ) - 仁王彩香さん» コメントありがとうございます!!はい、これからも頑張らせていただきます!! (2020年5月23日 14時) (
レス) id: 2a5e77e557 (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - 初めまして作品見ました^ - ^続きの更新頑張ってください！！ (2020年5月23日 12時) (レス) id: 9f5e24e49c (このIDを非表示/違反報告)
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