柘榴が三十一粒 ページ33
幸村「ｯはぁーーー………」
幸村は父の身勝手さに溜息をつき、頭を抱えた
そんな幸村の様子を見て、柳は話を続けるべきか少し迷った
柳「…話を続けますか？それとも……」
幸村「大丈夫だよ、続けて」
柳「はい。…Aはゼウス様に冥府の管理を任命された後、たった一人でこの暗い地底にやって来ました」
幸村「一人で…」
柳「えぇ、その頃はまだ俺も此処には居なかったので。Aが冥王として就任してから数十年は過ぎた頃、俺の元にヘルメスから伝令が届きました。流石に数千人の亡者を一人で裁くのは無理だと思い、贖罪の神である俺を呼んだようです」
幸村「そっか。…それで、その時のAさんはどんな様子だったの？」
柳「長年の疲労とストレスからか、当時は今よりもずっとやせ細っていて、目も暗い色をしていました。それと後にデメテル様から聞いた話によりますと、性格も昔とは変わったようで…」
幸村「変わったって、どんな風に？」
柳「物静かな性格は今とあまり変わらなかったらしいです。ですが職業柄、公平且つ厳格でいなければならない所為か、昔よりも堅い性格になったとか。ですが、デメテル様は心優しいところは変わっていないとも仰っていました」
幸村「…そうなんだ」
“Aが優しいのは昔から変わらない”
そう柳とデメテルの言葉に幸村は酷く安心した
そしてその性格が災いしたというのも確信した
Aがゼウスに対し、はっきりと断っていれば今まで此処でストレスを感じずに済んだのに
幸村はそう考えたのだ
幸村「あ、そうだ。これが一番聞きたかったことなんだけど…Aさんって、一人きりだった時は寂しくなかったのかな」
柳「……」
幸村「？」
幸村の問いに柳は突然黙り込んだが、暫くして柳はまた口を開いた
柳「これは俺が此処に来る前にデメテル様、ヘラ様やヘスティア様…Aの御姉妹方に聞いた話です。Aは俺が来る数年前まで、彼女達に頻繁に手紙を書いていたそうです。その内容というのも……」
『収容中の亡者達は私を疎んでいて、他の神々も私を避けている』
『私は“長兄”だから、一人で頑張らなきゃダメなの？』
『私はずっと此処から出られないの？』
『姉上達やヘラに会いたい』
『さびしい』
柳「…そういった内容だったそうです」
幸村「………」
それを聞いただけで幸村はAの当時の思いを感じ取ったのか、絶句していた
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死音心音2.0(プロフ) - 仁王彩香さん» コメントありがとうございます!!はい、これからも頑張らせていただきます!! (2020年5月23日 14時) (
レス) id: 2a5e77e557 (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - 初めまして作品見ました^ - ^続きの更新頑張ってください！！ (2020年5月23日 12時) (レス) id: 9f5e24e49c (このIDを非表示/違反報告)
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