柘榴が二十四粒 ページ26
階段を駆け下り、廊下を走って庭に出る扉の前に着くと幸村は一呼吸おいて扉を開けた
その開けた先には、昼間とはまた違った幻想的な庭が広がっていた
幸村は夕日を浴びる花の間を抜け、先程見ていた所まで進んだ
幸村(確かこの辺だった筈……あ、居た！)
進んだ先に、その人物はいた
地上から舞い降りてきたであろう蝶と戯れ、咲き誇る花達に優しげな視線を向けている
光を映さない目は少し伏せられ、口元は緩く弧を描いていた
その美しさはアフロディーテにも引けを取らない程だと、後に幸村は語った
そんな泡沫のように儚い表情をするAに幸村が見惚れていた時だ
貴方『…！』
Aは幸村に気付いたのか、焦った様子でその場を去ろうとした
それを見て、幸村も慌ててAを呼び止めた
幸村「あ！ま、待って！」
貴方『……(ﾋﾟﾀｯ』
幸村「良かった、止まってくれた…あの」
貴方『…何故止めた』
幸村「え？えっと」
貴方『私の姿など、見たくもないだろう』
幸村「えっ!?」
貴方『む…？』
驚いた幸村に、Aは不思議そうに首を傾げた
どうやら、お互いに少し誤解をしていたようだ
幸村「なっ、何でそうなるんですか！」
貴方『何でって……私は君を攫い、無理やり此処に連れてきたのだぞ？自分を攫った本人の顔など普通は2度と見たくないものだぞ』
幸村「そんな…俺は気にしてませんよ。ですから此方に来てください」
貴方『…いいのか？もう怒ってないのか？』
幸村「はい」
貴方『……分かった』
Aは少し渋ったが、幸村の方へとゆっくりと近付いた
そして目をキョロキョロとさせながら幸村に一言聞いた
貴方『わ、私は…君に、酷い事をしてしまった。それでも、許してくれるのか…？』
幸村「はい。それに、俺は元から怒ってませんから」
貴方『そう、か………』
許してもらえたと分かると、Aはホッとしたように息を吐いた
貴方『…そういえば、自己紹介がまだだったな』
幸村「そうですね」
貴方『私の名前は柳生達から聞いたか？』
幸村「いえ、自分で名乗らせるとしか…あ、でも男の姿の時はハデスだと聞きました」
貴方『そうか…では、改めて自己紹介だな。私の名はAだ。この姿でいることが多いが、男でいる時はハデスと呼んでくれ』
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死音心音2.0(プロフ) - 仁王彩香さん» コメントありがとうございます!!はい、これからも頑張らせていただきます!! (2020年5月23日 14時) (
レス) id: 2a5e77e557 (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - 初めまして作品見ました^ - ^続きの更新頑張ってください！！ (2020年5月23日 12時) (レス) id: 9f5e24e49c (このIDを非表示/違反報告)
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