【文スト】同性、しかも上司に恋をしました【男主】

3.第壱話 ページ3

現在、午前6:00


まだ朝靄が薄く残っている時間帯だ


そんな時間ではあるが、

俺は出掛ける準備をしていた


貴方『行ってきます』


俺はそう呟いて、部屋の外に出た


ん？…嗚呼、自己紹介も無しにいきなり済まんな


オッス、俺は菊池Aだ


これでも一応、この小説の主人公をさせて

貰ってるんだが……っと


悪い、今少し急いでるんだ

此処等で失礼させて貰うぜ


貴方『えっと、今日の仕事は
部隊の方と書類関係だったか…』


今日の仕事の予定を確認しながら

階段を降りると、初老の女性に声を掛けられた


「あら、Aくん！おはよう！」


貴方『嗚呼、大家さん。おはようございます』


彼女は俺の住んでいるアパートの大家だ


現在はアパートの近くで独り暮らしだが、

息子が一人いるらしい


同じく独り暮らしの俺を、本当の息子の様に

可愛がってくれている母親的な存在の人だ


「どうしたの？こんな朝早くに」


貴方『今から職場に行くんです。
今日は仕事が多いらしいので、早く行って
早く片付けようかと思いまして』


「そうなの？大変ねぇ……あっ、それとね。
Aくん、今日早めに帰って来れそう？」


貴方『え？うーん……すいません、
今日は無理ですね。何か話でも？』


そうやって聞き返すと、大家さんは

チラチラと視線を泳がせた


「いや、えっと…話って言うか……」


貴方『？』


暫くすると、大家さんは覚悟を決めた様な

少し申し訳なさそうな顔をした


「えっとね、Aくん
驚かないで聞いて欲しいんだけど……」


貴方『はい』


「その……このアパート、売ることになったの」


貴方『………え？』


大家さんの突然の発言に、俺は唖然とした


…いや、するしかなかった


貴方『あ、あの、売るって一体…？』


「正確には、土地を売るんだけどね。
ご免なさいね…どうにも、急に決まったのよ」


貴方『急に？大家さんが決めたんじゃ
ないんですか？』


どうにも大家さんの話によると

昨夜、突然 電話が掛かってきて

不動産会社を名乗る男から二週間以内に

アパートの住人を立ち退かせるよう

云い渡されたようだ


それを聞いて慌てて土地の権利書を探すも、

何処にも無かったとのこと


丁度その前日、息子が来ていたらしいが……

…明らかに息子が怪しいな、それは



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