何故か、隣はあいつでした ページ44
貴「指スマ〜１！」
霧「指スマ〜５！」
貴「指スマ〜６！ってアホか！」
状況説明をしよう、栄都学園に向かっているマイクロバスに乗っているサッカー部。
私もその一員なので、普通に座っているのだが：：：何故か私の隣は霧野だった。しかも知らない内に、一緒に指スマやってたし。
霧「何だよ、いきなり叫んで」
貴「あ：：：いや、私の心の中の話です。すいません」
霧「？」
ていうか、偶然なのかは分からないけど。
良く霧野と一緒になる事が多いんだけど何で？もう一度言うよ、何で？
貴「謎だ、これは永遠の謎だ：：：」
霧「一人で何を言っているんだ。丘橋」
貴「はあ、何でもない。何でもないったらないよ〜」
別に霧野の事が嫌いではないのだ。そう嫌いじゃない。嫌いじゃないから、今すぐにでもこのドアップを私の携帯に保存したぐらい好きだ。
けれど、それは私の単なる楽しみぐらいで本当の意味ではこの状況はあまりよろしくない。
貴「：：：？」
霧野との指スマをやめた私は、すぐに自分の考えに入った。その時に私の顔の前に霧野の顔がアップで映し出されたとは思わなかった。
ので、私は盛大にびっくりした。
貴「うわ！な、何してんの？」
霧「ん？いや、指スマが終わった途端お前すぐに自分の考えにふけこんだだろ？」
ギクッと図星を突かれた私は何も言わずに霧野の言葉に頷く。霧野ってこんなに人の心を読める
奴だったっけ？
霧「丘橋」
と、呼ばれて隣を向くと、私の両頬がぐにっと霧野につねられた。チョー、痛い。めちゃくちゃ痛い。
貴「にゃにしゅるんにゃよ。ほにょにゃにょう(何するんだよ、この野郎)」
霧「お前、人の話を無視し過ぎだ。考え込むのはいいが、人が話をしている時はこっちを向け」
貴「：：：」
霧野が頬から手を離しても、私は少し唖然としていた。
怒られたはずなのにちょっと嬉しい。だって、数日しか会っていない赤の他人に、こんな真剣に怒ってくれる人なんて見たことなかったから。
しかも、強く怒っているわけじゃない。強く怒るだけじゃ相手が必ずしもちゃんと理解してくれるわけではない。
私から見た霧野は少し大人に見えた。多分、そう見えたのは私が年の割に幼い行動をしていたからかもしれない。
霧「：：：悪いな、怒って」
でも、この時の霧野はとても大人に見えた：：：それは間違いない。
貴「ううん、気付かせてくれてありがとう」
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作者名：keito | 作成日時：2015年5月18日 0時
