避ける理由はきっとあるはずだ ページ31
貴「ただいま:::」
フ「お帰り〜、珪子!」
結局何も分からないまま、私はいそいそと家に帰ってきた。
玄関で立ったまま靴を脱いでいると、こちらに駆け寄ってくる音がする。顔を上げれば、エプロンをしているフェイの姿が見えた。
貴「エプロン?キッチンで何やってたの?」
フ「夕ご飯を作ってたんだよ。今日、ミストレ達帰って来るの遅くなるから先に珪子と食べてようと思ってね」
貴「へえ、遅くなるんだ」
ということは、フェイと二人きり:::って私は何を考えているんだ!
頭の中で、一人ツッコミとボケを交わす。
フ「で、今日は元気ないね。学校で何かあった?」
貴「え?」
私が落ち込んでいる事に気付いたのか、はたまた偶然なのか、フェイは私の考えている事を言い当てた。
貴「:::超能力?」
フ「いやいや、普通に分かるから」
はあ、とため息をついて私はリビングへとスタスタと歩いて行く。フェイはどうしたの?と言いながら私の後ろからついてくる。
リビングに入ったと同時に、私はすぐそこにあったソファに制服のまま仰向けに寝っころんだ。
貴「何でもないよ、別に大した事じゃないし」
フ「君が大した事じゃなくても、僕は聞きたいの」
貴「:::」
ね?と首を傾げるフェイ。
私は首を傾げるフェイに萌えながら、少し考えてから口を開く。
貴「フェイは、理由もなく人を避ける事ってある?」
フ「?」
貴「昨日までは普通に少しぐらい話していたのに、それが今日になって全然話さなくなって、避けるようになって:::そういう事はフェイにはある?」
いきなりのフェイにシリアスな質問。
けれど、今の私にとっては一番聞きたい答えなんだよね。
これで、少しでももやもやした気持ちが軽くなるなら:::良いかなって思ってる。
フ「この人苦手って思ったら、確かに何も言わずに避けるかもしれないね。けど、それ以外だったら多分、僕は理由なく避ける事はないと思う」
貴「ていうことは、ちゃんと理由があって避けるってことだよね?」
フ「誰も理由もなく、避ける人なんていないと思うけどね」
確かに、フェイの言っている事は正しい。避ける理由が無ければ、普通に接してくるはずだ。
神童もちゃんとした理由があるのかな?
フ「本人に直接言えば?」
貴「:::確かに」
フ「ちゃんと理由を知って、それで自分自身で直していく。その方が良い」
貴「うん」
そうフェイの言う通り、直接聞く事が大事なんだ。
この『画像』が本当ならば::: 神童side→←神童との間に隔てられた厚い壁
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作者名:keito | 作成日時:2015年5月18日 0時