暗殺教室～男装少女はマフィアのボス？～短編集 (ページ23)

今日:5 hit、昨日:8 hit、合計:12,743 hit

『カーチェイス』　＃２ページ23

ア「先程、僕は大丈夫と言ってしまいましたが：：：少し心配になってきました」

貴「お前まで俺を信じてねえのかよ！？」

２人で車に乗り込んで、運転席でシートベルトをしている俺に先に乗り込んだアレッタが銃を抱えながらそう言った。

俺が後ろを向いて反論すると、違います！と両手をせわしなく振って否定する。

ア「そう言う訳では！：：：怪我をしてしまったらと心配で」

その理由に、俺は呆れて溜息をついた。

貴「この中で一番危ないのはお前なんだぜ？アレッタ」

ア「え？」

貴「え？って、お前：：：本当に」

烏『出発するぞ、準備は良いか』

車に設置してある無線からノイズが走った烏間の声がする。俺はつまみを調整してからハンドルを持って答えた。

貴「si！」

ア「Va bene！」

貴「俺達に目を付けた事を後悔してやる！」

―――――――――――――――――

烏「健闘を祈る」

無線機を切った烏間先生は、一呼吸おいて車を発進させた。僕達三人はそれぞれ二人の心配をしながらも目的地へと向かう。

烏「心配か？」

茅「心配に決まってるじゃないですか：：：」

渚「怪我したらどうしよう！」

僕と茅野が心配している横でカルマ君はクククッと笑う。ずいぶんと余裕だ。

カ「心配は必要ない。いや、怪我をする事もない」

渚「何でそんな事言えるの？」

カ「俺が心配で聞いたら『絶対に怪我なんてしない』って言ってたし。尭って自分で言った事は必ず実行するタイプだから」

だからと、口で言うのと実践とは訳が違う。けれど、カルマ君にはそうやって言える根拠があるらしい。

僕が聞こうとすると自分の口に人差し指を置く。

カ「大丈夫。二人は車は壊れても中から無傷でピンピンしながらイタリア語で『ただいま！』って帰って来るよ」

カルマ君の言葉に、僕は信じるしかなかった。

―――――――――――――――――――ー

３台の車の一番後ろで走る俺達。俺は運転をしながらインカムから来る仲間の報告に指示を出していた。

アレッタは後ろの席でサンルーフから体を一部出して後ろを向きながら双眼鏡を覗いていた。俺はインカムを切って相手が来ているか問いかける。

貴「どうだ？」

ア「今は無し。どんな奴が来るんですかね？」

貴「大方見当はついている。恐らく、俺達と同じ目的で来た殺し屋だ。俺達と同じ、仲間で来ているはずだ」

ア「じゃあ、同じ標的を狙っている僕達を？」

貴「ああ、殺しに来る。確実にな」