そういえば・・・ ページ8
「ご!ごめんなさい!ごめんなさい!年上の方に「少年」って、しかも女性の方なのに失礼な事を!」
別に間違われていてもそれもそれで面白いから様子を見て見たかったけど、心優しい青年に嘘を付くのは私の心が痛む。
だから、正直に話したけれど……まさかこんなに何回も頭を下げられるとは思わなかった。
「い、いやいや!ただ嘘付くのが嫌だったから本当の事を言っただけで別に怒ってないよ?ていうか、私の事「少年」だって思ってんだ」
「少年」って、どれだけ私の顔は童顔なんだ。そういえば、利用者の方にも「可愛らしい坊やだね〜」って言われたっけ。
子供扱いされすぎでしょ、私。
「けれど、原付に乗っている時点で気付くべきでしたよね。失礼しました」
「確かに、原付乗ってたね。私」
二人して気付いていなかった事に呆然とする私達。何か少しずつ面白くなってきて私は自然と笑いが込み上げてきた。
「フフッ、ハハッ!ハハハッ!」
笑い始めた私に最初は唖然としていた一倉君だが、同じように笑い始める。初対面なはずなのに、私は人見知りなはずなのに。
自然に話せたのは久しぶりだった。
―――――――――――――――――――――
一倉君と話しながらマンションの中に入る。エレベーターに乗って「一倉君は何階に住んでるの?」と聞いた。
「えっと、俺は5階に住んでいます」
「え?」
「…え?」
「私も5階に住んでるんだよ」
そして、私達は5階に降りて一緒に方向に歩いて行く。え、嘘?え?そして、私が自分の部屋の前に立つと、
「「え?」」
一倉君は私の隣の部屋に立った。偶然に偶然は重なるものだけど……まさか、隣の部屋の住人とは思わなかった。
「良く、私達すれ違わなかったね」
「偶然は重なるものですね……」
「ね〜」
これも何かの縁だと感じた私。一倉君の方に振り返り手を差し出す。一倉君は不思議そうに首を傾げる。
「こうして知り合ったのも何かの縁だと思ってね。私夜勤とかあって夜にいない事が時々あるけど、何か大変な事があったら私に相談してね」
「……は、はい!」
改めて仲良くなった私達はそれぞれの部屋に入る。中は昨日の夕方から変わっていない。
「夕方から……」
ドッと体に疲れと目の重みがやってくる。そういえば、今日自分が夜勤明けだった事を忘れていた。
「ね、む……」
玄関で寝落ちはしたくなくて、私は千鳥足でベットへ行き横たわる。
「zzz…」
秒で寝落ちした。
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作者名:keito | 作成日時:2023年5月30日 22時