怪盗ジョーカー～満月の怪盗～２【スペード】 (ページ26)

今日:8 hit、昨日:3 hit、合計:24,204 hit

作成中：：：ページ26

ハ「ただの誘拐じゃないですか」

貴「失礼な、戦術的誘拐と言って欲しいね」

ハ「自分でも誘拐って言ってるじゃないですか。それは認めるんですね」

私とアルタとの出会いの話の途中、ハチ君は私がアルタを誘拐してきた事に驚いていた。いやいや、戦術的誘拐だ。

貴「まあ、客観的に見れば誘拐に近いけど：：：あそこの研究所見た？警備も何も無かったんだよ？」

ハ「知らないっすよ！何で僕が見た前提で話しているんですか！」

貴「ハハッ！冗談冗談！まあ、そこは機能していなかった研究所だったんだよ」

ハ「え？機能：：：って」

貴「そう、閉鎖された研究所ね。あそこにアルタはずっと取り残されていた：：：」

多分、いやきっと：：：アルタは研究の失敗作で廃ビルとなってしまった研究所に取り残されていた。

『出来損ないの欠陥体』、その場にあった資料に書いてあった。

ハ「出来損ないの欠陥体？」

貴「理由は分からないけど、アルタはいらない存在としてあそこに置かれていたんだろうね」

ハ「アルタさんはそれを知っているんですか？」

貴「知らないし、私はあの子に自分がいらない存在だった事を知って欲しくないから言わない。少なくとも、私はあの子の事を大切な存在って思っているから」

私が笑みを浮かべると、ハチ君は優しい笑みを向けてくれた。聞いてくれてありがとう、そう言って私はハチ君よりも先に眠りに入った。

――――――――――――ー

ス「ハチ君」

ハ「スペードさん？」

僕もまた、眠りに入ろうとしたら今度はスペードさんが起きて来た。いや、その場で眠ってしまったハートさんを心配しに来たみたいだ。

岩を枕にして寝ているハートさん確かに痛そうだ。

ス「いつもこうやって一人で背負いこんでしまうんだ。ハートは」

スペードさんはそう言いながら、岩の上に座りハートさんの頭を自分の膝に乗せた。髪の毛を愛おしそうに撫でるスペードさんは優しい顔をしている。

作成中：：：