怪盗ジョーカー～満月の怪盗～２【スペード】 (ページ25)

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Voleur avec copain datant(怪盗と相棒の出会い)　＃３ページ25

？「で、今ここにいるって訳！」

貴「：：：そっか」

話をし終わった彼は先程と打って変わったように爽やかな笑顔を見せる。

？「まあ、元々ここにいた訳じゃなくて本部から支部に移動させられてここで研究されてるんだけど：：：って何してるの？」

座っていた私が徐に立ち上がったのに驚いたのか首を傾げながら問いかける。そんな彼を無視して、私は彼の傍らにある機械へと近寄った。

それは、彼が入っている筒を操作する機械。そこには『解除』と文字が書いてあるボタンがあった。

貴「ね、君。私の相棒にならない？助手でもいいよ」

？「：：：は？」

突拍子もない私の問いに、彼は呆れた顔を見せる。

冗談？いや、冗談ではない。私は冗談で人を誘わない：：：ちゃんとした理由はある。

貴「私、怪盗をやってるのはこの身なりで分かっているよね？それと副業にマジックショーをやってるんだ」

？「マジックショーのパートナー？な訳ありませんよね。貴方の正式なパートナーとしてですか？」

貴「うん、さすが！」

別に彼の事を知っている訳ではない。今、彼の過去を教えてもらったし。彼の性格もまだまだ分かり切っていない。

う～ん：：：なんというか、彼とは気が合いそうな気がする。

？「興味本位ですか？それなら僕の事はおすすめしませんよ。初対面の人間をパートナーにしたがるなんて普通はありえません」

貴「そうかな？君、頭良さそうだし。色々出来そう！」

？「どこから出て来るんですか？その自信は」

いや：：：彼とは境遇が似ているからなのだろう。

『助けたい』：：：自分はそんな人間じゃないのに、そう思ってしまった。

貴「こんな所にいるよりは、私のパートナーになった方が楽しいよ？普通の生活が出来るし。毎日三食食べられるし」

？「：：：そんなに僕に相棒になって欲しいんですか？」

彼は真剣な目で私を見る。もちろん、嘘とは思われたくない。私は彼の目をずっと見つめた。

？「はあ：：：貴方の勝手にどうぞ。「あ、そう？じゃあポチッと！」っておい！」

私は有無を言わさずに解除ボタンを押す。すると、筒が下に下がって行き水が溢れだす。私はマントを外して、流れ出て来た少年をマントでくるんだ。

マントにくるまれた少年は私を睨みつける。私は気にしないで彼をお姫様抱っこして走り出した。

？「：：：貴方の名前は？」

貴「怪盗フルムーン「違う」え？」

？「本名！」

貴「！：：：ハートだよ、よろしくね！」