怪盗ジョーカー～満月の怪盗～２【スペード】 (ページ24)

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Voleur avec copain datant(怪盗と相棒の出会い)　＃２ページ24

Extra Sensory Perception factory、通称『ＥＳＰ研究所』。そう言って、筒の中にいる少年は説明してくれた。

？「ＥＳＰは分かるよね？エスパーつまり、超能力を持っている者。普通、超能力は先天性のものであり生まれた時から身に着けているものだ。もちろん、なんらかの衝撃や事故などによって後天的に身に着ける事もある」

少年の説明を聞きながら、私はメモを取る。必要なの？と言われるが、私は一応ねと空返事を返した。

そして一つ質問をする。

貴「ここは、そういう超能力を持った者達を被験者として研究しているってこと？」

その言葉に少年は首を横に振った。この研究所に入った時に感じた異様な空間は生ぬるいものではないと感じた私。

自分の質問が間違っている事を少年が首を横に振る事で確信した。

？「ここは、普通の人間や動物に後天的に超能力を身に着けさせる事を目的としている所だ。貴方もここに侵入してきた時に気付いていたでしょ？まるで、宇宙船に潜ったような感じだったと思うよ」

貴「うん、瀕死の動物や人間が：：：いた」

気持ち悪いと思わなかったのは、私がそういう事になれていたからかもしれない。良い気分は全然しなかった。

貴「君もその一人なの？」

少年はこくりと頷いて、自身の身の上を語り始めた。

？「あまり覚えてないけど、僕と父と母の３人家族で良く海外旅行に行っていた。事件が起きた時も：：：そうだった」

少年の家族はその時に乗っていた飛行機で、海外に行くはずだった。けれどそこで、ハイジャックに会ってしまう。

悲惨なものだった。人質とか身代金とかハイジャック達の目的じゃなかった。空の上で、助けもこれない状況、自分達が助かろうとは微塵も思っていなかった。

そう、彼らはただ極限状態の中で人を次々と殺めてそして自らも命を絶つという：：：『無理心中』を図ったのだ。

もちろん、無差別：：：運悪くこの飛行機が選ばれてしまったのだった。

貴「：：：」

？「両親は殺され、僕は彼らに見つからないように隠れてた。そして、ハイジャック達は高笑いを上げながらパイロットを殺した。もちろん、操縦する人はいないからそのまま落下していく。ああ、僕はこのまま死ぬんだって思ってた：：：」

その目は恐怖などはなく：：：淡々として見たものを語っていた。私は彼をただ見つめる。

？「僕は奇跡的に生きていた。瀕死の状態で：：：：：：死にたくても死にきれないのがこんなにつらいとはね」