怪盗ジョーカー～満月の怪盗～２【スペード】 (ページ22)

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Prsence sous la lune(月の下の語り合い) ページ22

皆が寝静まった頃、私は一人石の上に座って月を見上げていた。

月はとても綺麗で、いつもはアルタと一緒に月を見ている事を思い出す。隣を見てもアルタはいない。

貴「まあ、当然だよね」

ハ「眠れないっすか、ハートさん？」

貴「：：：ハチ君」

一番先に寝ていたハチ君が、私の名前を呼んだ。私はうん、とハチ君においでと手招きをする。

失礼します、とハチ君は頭を下げて私の隣にちょこんと座った。

ハ「寂しいっすか？」

貴「え？」

ハ「アルタさん、やっぱりいつも一緒にいる相棒がいないと寂しいっすよね」

ハチ君の言葉に私は少しばかり驚く。ハチ君、時々人の心を読んだような発言するからちょっと怖い。

いや、ハチ君自体が怖い訳じゃないけど。

貴「ハチ君、貴方本当はすごい忍者なんじゃ：：？」

ハ「え？」

貴「：：：いや、何でもない。でも、ハチ君の言う通りだよ。いつも一緒にいる人がいないとやっぱり寂しい」

距離が近いと大切な事は分からないって言うけど、本当にその通りだ。

こうやって、一日離れていたけど：：：私アルタに助けられていた部分って一杯あったんだ。

貴「私、アルタと一緒にいる事が当たり前みたいだと思っていたけど：：：本当は」

ハ「違っていましたか？」

貴「うん：：：キング、ジョーカーも大切な存在だけどアルタは：：：もっと大切かな」

僕も同じです、ハチは言った。

ハ「今でこそ、ジョーカーさんといるのが当たり前になっていますがジョーカーさんの弟子になった事は僕にとって特別な事だったんです」

貴「特別？」

ハ「家にいた頃は、落ちこぼれの忍者でした。そう言われていました。僕はおちこぼれから脱却したかったんです」

ハチ君は、最初ただのジョーカーの弟子としか考えていなかった。けれど、こうやって聞くと彼も色々苦悩してジョーカーの弟子になったんだね。

ハ「その時にジョーカーさんと出会いました。きっと彼に付いていけば、僕はもっともっと強くなれる。今になっては、ジョーカーさんの弟子として役に立ちたいと思うようになっています」

貴「：：：ハチ君にとって、ジョーカーは目標なんだね」

ハ「はい！」

ハチ君の嬉しそうな顔に、私は顔を綻ばせる。

貴「アルタが人間として感情を持った時も、ハチ君と同じ顔をしてた」

ハ「：：：人間としての感情？」

小さく呟いたつもりだったのに：：：ハチ君なら大丈夫か。

貴「聞かせてあげる、私とアルタの『出会い』を：：：」