怪盗ジョーカー～満月の怪盗～２【スペード】 (ページ3)

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Funeste sage du cauchemar(悪夢の前兆) ページ3

貴「：：：」

ア「：：：：：：主、まだ？」

水が入った円形の筒をじっと見ていた私に、アルタは閉じていた目を開けて私を呼ぶ。

貴「しゃべるな、もうすぐ終わるから待ってて」

そう、私が筒の中をじっと見ていたのはアルタが中に入っているからだ。傍らにある機械を操作して彼の体の状態を調べる。

ア「早くしてよね、主の紅茶を入れなくちゃいけないんだから：：：」

分かった分かった、と言いながら機械を見る。どうやら異常は無いようだ。

片手に持っていたバインダーを自分の目の前に来るように持ち、データ用紙に『異常なし』と書く。

貴「よし、今からタオルを持ってくるから。勝手に水を抜かないでね？」

そう言うと、アルタは面倒くさそうに了解、と返事をした。返事をしたアルタを見て頷き、タオルを取りに私はその場を離れた。

アルタside

ア「：：：はあ～」

早くここから出たい。

主には言った事が無いのだが、この筒の中はあまり好きじゃない。けれど、俺にとってこの機械は絶対に必要だと主が言っていた。

俺を大切にしてくれている主の命令ならばしょうがないと思うけど：：：。

貴「持ってきたよ～！」

ア「あ、はい。ありがとうございま：：：！？」

ス「：：：：：：やあ！」

何故か、主の隣にスペードさんが僕を見て何も見なかったように清々しい笑顔で挨拶をしてきた。

まあ、そりゃそうか：：：裸だもん俺。

ア「すいません、スペード様。お見苦しい物をお見せしました」

主からタオルをもらった俺は体を拭きながらスペード様に無礼を詫びる。

すると、スペード様が主に向かって怒気の入った顔：：：いやそこまで入っていないが怒る。

貴「何、キング？」

ス「何、：：じゃないよ！君は男の裸を見て恥ずかしくないのか！？」

貴「はあ？」

スペード様の言葉に主は首を傾げた。俺も同じように首を傾げる。

貴「恥ずかしい、なんて思ってたらアルタの定期検診が出来なくなっちゃうでしょ？思わない、思わない」

ア「そうですね。スペード様が今更言っても遅いですよ」

ス「れ、冷静だな：：：二人は」

逆に、僕がこの中にいた事に首を突っ込まないスペード様が冷静だなって思うよ。

まあ、自分でも分からないけどね。：：：主しか知らないから。

貴「で、キングさ。何で私の船に来たの？」

どうやら、自ら招き入れた訳ではなく勝手に入って来たらしい。

スペード様も人の事言えないな。