いなくなった翠星石 ページ7
本を片手に私は家へと戻ってきた。少し、遅くなってしまったからおじさんに一言謝っておかないと:::心配性だからな、あの人。
貴「ただいま〜」
扉を開けて中を見ると、いつもなら翠星石が玄関の前で待ち構えていると思ったのに、今日は翠星石がいなかった。
かわりにいたのは、
貴「蒼星石:::?」
蒼「お帰り、蒼。今日は遅かったね」
貴「あ、うん。委員会の仕事があったから:::」
蒼星石、ただ一人だった。
私は靴を脱いで、蒼星石と共に自分の部屋へと向かう。蒼星石の横顔を見ると、いつもの蒼星石と違う事を感じ取った。
前に、翠星石と喧嘩した時にも同じような顔をしていた。
貴「ねえ、蒼星石。ちょっとそこに座ってもらっていい?」
蒼「:::」
部屋に入った私は、自分の向かい側に蒼星石に座る様に指を指す。
蒼星石は頷いて向かい側に座るかと思いきや、私の膝にちょこんと背中を向けて座った。
蒼「ここに、座りたい」
貴「:::」
私の膝に座るという事は、やっぱり翠星石と喧嘩をしていたのだと分かった。
蒼星石は、自分の気持ちを素直に言えない子だから:::あ、翠星石も素直じゃないか:::別の意味で。
私は、一回り小さい蒼星石を自分の体に寄せて包むように抱きしめる。蒼星石を撫でながら問いかけてみた。
貴「蒼星石が、私にこんな風に甘えるなんて翠星石と何かあったの?」
蒼「:::」
貴「喧嘩でも、したの?」
私は、後ろから蒼星石の顔を覗きこむとそっぽを向かれた。つまり、図星という訳だ。
貴「何で喧嘩したの?」
蒼「喧嘩なんて:::してない」
貴「嘘を言わない。喧嘩していなきゃ、ここに翠星石がいないなんておかしいでしょ?」
翠星石のように、素直に言葉を口に出来ないのが蒼星石。
しかも口が堅いのだから、蒼星石から翠星石の話を聞きだすのは大変だ。
貴「:::」
蒼「マスターの:::事で喧嘩した」
貴「?」
今まで口を閉じていた蒼星石がゆっくりとその経緯を話してくれた。やっぱり、マスター絡みで喧嘩したらしい。
予想はしていた:::けれど、まさかまた同じ事で喧嘩をするとは思わなかったな。
貴「やっぱり、双子だからかな?」
姉妹と、双子の姉妹はまた違くて髪型や服装や性格は違っても顔は同じ。
色々な問題があるのだろう。
蒼「ごめん」
貴「今に始まった事じゃない。でもね、やっぱり喧嘩はいけないよ?
仲直りしないと、ね?」
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RIN - 蒼星石って女の子ですよね?あれ? (2017年12月10日 20時) (レス) id: a7bd376b17 (このIDを非表示/違反報告)
迷い少女 - 禁断の恋……グッジョブです!keitoさんナイスです!蒼星石私も大好きです! (2017年2月11日 21時) (レス) id: 5455d9796b (このIDを非表示/違反報告)
スズム - 私こんな小説まっていました!続きまってます (2016年9月3日 23時) (レス) id: f5753a9cbf (このIDを非表示/違反報告)
AYURI(プロフ) - keitoさん» (`・ω・´)ゝビシィ (2016年4月12日 17時) (レス) id: ec5663ae21 (このIDを非表示/違反報告)
keito(プロフ) - はい、読ませて頂きます<(_ _)> (2016年4月12日 17時) (レス) id: 5710870048 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:keito | 作成日時:2015年7月6日 17時