寂しさとぬくもり ページ13
貴「おじさん、ここにご飯を置いておくね?」
柴「ああ、ありがとう:::」
貴「:::おやすみ」
作業中のおじさんに、私は隣の机に夜ご飯を置く。おじさんは私を見る事もなく、作業をしながら返事をした。
私はおじさんの後ろ姿を見てから、小さく呟いて部屋を出た。
貴「:::」
この頃、というよりもおばさんが眠ってからおじさんは私に冷たくなった。いや、私の勝手な思い込みかもしれないけれども:::。
でも、やっぱり悲しい。
自分は、二人の身内じゃないけど:::。
蒼「マスターどうだった?」
貴「:::いつもの作業中だよ。いつもの:::」
蒼「蒼?」
自分の部屋の障子を開けると、蒼星石が目の前に立っていた。微笑む蒼星石に私も同じように返して、勉強机へと向かう。
今日は学校でいっぱい宿題が出ていたからだ。
蒼「:::蒼、好きだよ?」
私が課題に取り組んでいると、勉強机の端っこに座った蒼星石。少し困ったような顔をしたかど思えば、何故か告白とも呼べる言葉を私に言った。
蒼星石の言葉に驚いた私は、目を丸くして持っていたシャーペンを落とす。
貴「ど、どうしたの?いきなり」
蒼「いや:::少し蒼の顔が悲しそうだったからさ。寂しいのかなって」
貴「寂しい:::?」
蒼星石の冷たい手が、私の頬に触る。そこに一粒の涙が蒼星石の手に落ちた。
それは私の涙だと言う事が分かった。
何故、私は泣いている?寂しいから?
おじさんが私の事を見てくれないから?自分が『本当の家族』じゃないから?
そうだよね、元々『赤の他人』である私を家族だなんて思うはず:::ないもんね。
蒼「:::「ねえ、蒼星石」?」
貴「私って邪魔なのかな?」
蒼「!?」
貴「私、『いなかった』方が良かったかな?」
蒼(『僕:::父上にはいらない『存在』なのかな?ねえ、蒼星石』)
私は机に突っ伏して、蒼星石の方を見る。そして蒼星石と同じように蒼星石の頬を私は撫でた。
貴「ねえ、蒼星石」
蒼星石の顔が私を切なそうに見る。私の目から無意識に涙が落ちていく:::寂しいという気持ちをながしていくかのように。
蒼「大丈夫だよ、蒼」
貴「:::」
蒼「僕がずっと:::ずっ――ーと傍にいるよ」
人形なのに、人間ではないのに:::何故か、蒼星石の私にしたキスはとても暖かった。
それは人間ではないからこそのぬくもりがあったのかもしれない。
貴「:::ありがとう」
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RIN - 蒼星石って女の子ですよね?あれ? (2017年12月10日 20時) (レス) id: a7bd376b17 (このIDを非表示/違反報告)
迷い少女 - 禁断の恋……グッジョブです!keitoさんナイスです!蒼星石私も大好きです! (2017年2月11日 21時) (レス) id: 5455d9796b (このIDを非表示/違反報告)
スズム - 私こんな小説まっていました!続きまってます (2016年9月3日 23時) (レス) id: f5753a9cbf (このIDを非表示/違反報告)
AYURI(プロフ) - keitoさん» (`・ω・´)ゝビシィ (2016年4月12日 17時) (レス) id: ec5663ae21 (このIDを非表示/違反報告)
keito(プロフ) - はい、読ませて頂きます<(_ _)> (2016年4月12日 17時) (レス) id: 5710870048 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:keito | 作成日時:2015年7月6日 17時