図書室の金髪少年 ページ12
貴「:::」
放課後、窓から指す夕日を浴びながら、私は当番である受付の所で必死に『とある天才人形師の本』を読みふける。
今日は図書室に来る生徒がいなくて暇だったからだ。
貴「『ローゼンメイデン』、日本語に訳せば、薔薇乙女::か」
この本には、ローゼンが一番丹精込めて作った7体の人形が載っていた。そこには、真紅達の姿があった。
でも、それ以上の事は書いていない。書かれていない。
これ以上は無駄だと思った私はあきらめて本を閉じようとした:::その時、
?『すいません、有田 蒼さんですよね?』
貴「え?」
突然、自分の上から少し高めのけれど、女性よりも少し低い声が私の名前を呼ぶ。
頭を上げると、そこには受付台に肘をついている金髪の少年が微笑みを浮かべて立っていた。
でも、少し:::体が透明なような。
貴「!じゃなくて、貴方は誰ですか?」
もちろん、この中学校にそんな生徒はいない。私が知らないだけなのか?
少年は驚く様子もなく、微笑んだまま私の問いに答えた。
ロ『僕は、ローラン』
貴「ローラン?」
やっぱり聞いたことが無い。
というより、この学校には留学生なんていないはずだ。
私はこの状況にあたふたしていると、ローランがくすくすっと笑う。
ロ『蒼が持っている本、見せてくれる?』
そう言ってローランは私が持つ本を指差す。私は片手で持っていた本を両手で持ち、戸惑いながらも渡す。
ローランはありがとう、と言ってその本をパラパラとめくった。
貴「:::」
私は本を読むローランの顔を見る。思えば、ローランも目がオッドアイだと分かった。しかも、私と同じ色の目。
じっと見ていると、ローランが本から目を離して私を見る。
ロ『蒼は、ドールに興味があるの?』
貴「え?あ、うん:::興味があるというか、家にこの本と同じ人形を持ってるの」
私は受付台から身を乗り出して、ローランが持つ本をめくっていく。
そして双子のドールが載っているページで手を止める。
貴「『翠星石』と『蒼星石』、私が持っているのはこの二人だよ」
ロ『:::』
チラリとローランを見ると、とても懐かしそうな顔をしてそのページを見ている。
けれど、すぐに切なそうな顔をした。
私が自分の事を見ている事に気付くと、本を閉じる。
ロ『ごめん、ありがとう。本、返すよ』
そう言って私に本を差し出して、そして:::
ロ『じゃあ、またね』
彼は姿を消した。
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RIN - 蒼星石って女の子ですよね?あれ? (2017年12月10日 20時) (レス) id: a7bd376b17 (このIDを非表示/違反報告)
迷い少女 - 禁断の恋……グッジョブです!keitoさんナイスです!蒼星石私も大好きです! (2017年2月11日 21時) (レス) id: 5455d9796b (このIDを非表示/違反報告)
スズム - 私こんな小説まっていました!続きまってます (2016年9月3日 23時) (レス) id: f5753a9cbf (このIDを非表示/違反報告)
AYURI(プロフ) - keitoさん» (`・ω・´)ゝビシィ (2016年4月12日 17時) (レス) id: ec5663ae21 (このIDを非表示/違反報告)
keito(プロフ) - はい、読ませて頂きます<(_ _)> (2016年4月12日 17時) (レス) id: 5710870048 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:keito | 作成日時:2015年7月6日 17時