◎夏とすれ違い ページ9
あの、中庭での出来事から2ヶ月が過ぎた。
3日後に慧先輩に話しかけられたけど、私は逃げるように無視してしまった。
涼介くんに慧先輩が言ったあの言葉を思い出すと、先輩が何を考えているのか分からなくて怖かった。
けれど、その2週間後にやっぱり先輩と話がしたいと思った。
その時には、もう遅かった。
「Aちゃん、帰ろう?」
「あれ?涼介くん今日部活は?」
「今日はオフ!言わなかったけ?俺」
あの時、私が先輩に声をかけようとした時、先輩はとっても美人な女の人と仲良さそうに話していた。
唯が、あの人は慧先輩の元カノの菜月先輩だと教えてくれた。
そして私は今、何度も告白してくれて今は俺の事を好きじゃなくてもいい、とまで言ってくれた涼介くんと付き合っている。
涼介くんを好きになって、慧先輩を忘れたいだなんて私最低。
「なあに考え込んでんのAちゃん」
そう言って私の顔をのぞき込んでくる涼介くん。
かっこいい。優しい。いい人だ。私にはもったいないくらい。
「んーん。なんにも考えてないよ」
「そう?あ、そういえばさ
来週の花火大会、一緒に行こう」
さりげなく私の手を取りながら首を傾げる涼介くん。
私は もちろん!と手を握り返した。
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作者名:さとう | 作成日時:2016年10月29日 19時