出会い＊ヒロインside ページ1
羽生結弦が神のように滑った
カナダでもそう報道された。
日々の生活ではテレビをつけても知らない人ばかりだが五輪のニュースでは日本人の活躍も報道され、普段接する機会などないアスリートでもこの海外の地に居ればたとえテレビの中だとしても親近感のようなものを抱いた。
トロントに転勤して1年。
慣れない英語、生活スタイル、仕事、辛いこともたくさんあるけれど同じ日本人の活躍に自分も頑張ろうと思えた。
特に羽生結弦の連覇は感動的だった。
フィギュアスケートの知識はなくても彼の演技には息を飲んだ。
五輪も終わりしばらくたった今、またニュースは日常に戻り、またしばらく日本人の顔を拝むのは会社の数少ない人だけとなった。
シャワーを浴び、メイクを終え、昼食用のおにぎりを作り身支度を整える。
忘れ物がないかバックの中身を確認しテレビを消して家を出る。
春が近づいて幾分暖かくなってきたとはいえ朝の冷えた空気とついさきほどまでいた室内との温度差に少し肩を縮こめながらガチャリとカギをかけた。
マンションに住んでいるため一階まではエレベーターでの移動。
ボタンを押して待つ間今日の仕事内容を頭で思い浮かべていた。
ポーンとエレベーターが到着を知らせる音を鳴らし扉が開く。
目線を少し下げていたその先に人の姿を見つけ、軽く会釈して乗り込もうと顔をあげるとつい最近見た顔だった。
それもテレビの中で…
はにゅう…ゆづる…？
黒のジャージに黒のブレーカーを羽織る羽生結弦と思われるその人もわたしの会釈に対して、軽く頭を下げた。
うーん…
そんなわけないか
でもこのトロントで限りなく似てる人がいたとしたらやっぱり本人なのかな
そんなにそこら中に日本人がいるわけでもないし…
羽生結弦と思われる人より後にエレベーターに乗った私の方が扉に近いために、後ろにいる彼の顔を確認する術はない。
まさか振り向いて凝視するわけにもいかない。
エレベーターが一階に着くまでのそんなに長くない時間、突然訪れた状況に頭の中は驚きと混乱がめぐっていた。
乗り込んだ時と同じようにポーンとエレベーターが一階に着いたことを告げた。
その音にハッと我に帰る。
彼が羽生結弦本人かどうかわからないけど…
「間違ってたらごめんなさいっ
金メダルおめでとうこざいます！」
振り返って一言それだけ伝える。
彼はびっくりしたように一瞬目を丸めた。
私は最初より少しだけ深く頭をさげてエレベーターを降りた。
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智枝 - ここまで一気に読みました。最近はお話が乱立していて、ぴょん落ち春休みな文章が多い中、文章が大人で安心して読めました。男子スケーターの中で一番男らしいオラオラ系らしいので、それがちゃんとキャラに出ていてこれからが楽しみです♪ (2018年4月4日 3時) (携帯から) (
レス) id: 8a519c5c92 (このIDを非表示/違反報告)
炯(プロフ) - ななかさん» ありがとうございます！急いで雑にならないように内容に大切に書いていこうと思います★今後ともどうぞよろしくお願いします∩^ω^∩ (2018年3月30日 9時) (レス) id: d02ad8dc67 (このIDを非表示/違反報告)
炯(プロフ) - miraclemaoさん» 一番気をつけているところをそう言っていただけるのは本当に嬉しいです！これからも特にそこには注意していきたいと思ってます！ありがとうございます( ^ω^ ) (2018年3月30日 9時) (レス) id: d02ad8dc67 (このIDを非表示/違反報告)
ななか(プロフ) - めちゃくちゃ大好きです！作者さんのペースでいいので、更新楽しみにしてます！続編が出たら、絶対読みます！ (2018年3月29日 23時) (レス) id: 951401a5f5 (このIDを非表示/違反報告)
miraclemao(プロフ) - 羽生結弦像を壊さず現実に近い感じの小説なのですごく感情移入して読むことが出来ます。作者様サイドの話を読み、世界観を壊さず小説を書いてくれている姿勢に頭が下がります。一番ハマっている小説です。作者様のペースで書いてください。楽しみにしています、 (2018年3月29日 21時) (レス) id: 218ccd6d58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：炯 | 作成日時：2018年3月26日 1時
