だって、わたしがいる【銀魂】9

重大 : 土方 ページ45

最近のAはおかしい。







いや、昔からおかしな奴だったが
ここ数日の様子は
完全に俺を避けているようで。







土「終わったか？」


「あー…ええ、はい。あと少し」


土「そうか、じゃあ今夜、」


「ああっっ！？しまった、
今日あれですよね！？あの！ほら！？
金魂の新刊発売日！大変、忘れてました！
あとで買いに行かないと！」


土「……」



や、やっぱり、少女漫画より
少年漫画ですよねー！友情！努力！勝利！
なんて声高らかに笑ってる。
なんつータイトル、口走ってんだ。
天パか、クソ。

気づかないフリをしてるのさえ、バレバレだ。
なんとか、普通に穏便に運びてぇが
かれこれ、この状態で1週間以上経つ。
仕事に支障がねぇどころか、
捗っちまうもんで
俺も眼を瞑ってたが…







土「そろそろ、なんとかしねぇと…」


終［？何がですか？
副長、あんこ付いてますよ］


土「あ、…悪ぃ。声に出てたか」



今は、浪士どもが隠居していると探り当て
現場の監視を頼んだ終の様子を見に来ている。
山崎は別の監視をさせていて、
さっき行ったら、あんぱんをスパーキングされた。


終は窓の隙間から、
隠居している建物を見下ろしていたが
前髪の下から、じっと俺を見つめるので
ふぅ、と窓の横に腰を下ろす。



土「…いやな、
望まれてねぇのかもしれねぇ。
…最初はあいつの為に、と思ったんだ。
よからぬ噂ばかり立てられて
欲しくもねぇ、レッテル貼らせる訳にもいかねぇ。
ただ、それは単なる建前で
俺が、…どうにかしてぇと
思ってたんだなって、気づいてよ」


終［…どうにか？］


土「何もしねぇままでいたら
どんどん虫が集ってくらぁ。
んなの分かり切ってる話だが、
そうだな…なんつうか、
どんな野郎だろうがもう、
指一本、触れさせたくねぇなって…な」


終［なぜ望まれてないと？］


土「…さぁな。頑なに、これ以上
進めるようなことは言ってこねぇし
してもこねぇ。
経験上、良くも悪くも思考が広ぇ奴だ。
そこにどんな理由があんだろうな」



誘導尋問に俺はまんまとハマリ、
はっとした時には遅かった。
マスクしてても分かる。
また穏やかな笑顔で俺に笑い掛ける終。



土「…いや！？だ、からな、
し、仕事上！？このままってのも、な！？」




慌てる俺に終は眼を伏せた。




終［俺の失恋、無駄にしないでくださいよ］


土「…お前っ、」


終［いや…皆の、ですね］


土「……重大だな」




終はもう一度、微笑んで見せた。

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