だって、わたしがいる【銀魂】4

おかしな言葉 ページ30

違いますよ。





お酒を飲めるのが嬉しいんじゃなくて、






土方さんが


わたしと一緒にいることを


わたしが


土方さんと一緒にいることを






許してくれたから、





土「…？」






あれ。






なんで？




いつもみたいに、



すらっと。







どうしてだろう。







言えない。









おかしいな。






「ひ、土方さんと一緒なら、
安心して飲めますもんね！！」


土「……。ああ。そうだろうな」




土方さんは、ほんの少し
複雑そうに笑った。


なぜだろう。






いつものように言えないわたし。


複雑そうに眼を伏せる土方さん。





わたしたち、

なんか変だ。





ひとつの想いの裏に
いくつもの感情があって、
それを盾にしながら
そこに触れないように
そこに神経を集中させるように
そこを、見つからないように
悟られないように
いつだって、矛盾させてばかり。
一挙一動に勝手に
傷ついたり、喜んだり








わたしたちは、



どうしてしまったのだろう。








「そしたら、わたしがおつまみ用意しますね！」


土「どうせ、チョコばっかりだろ」


「わたしをチョコだけの女と
舐めないでください！！！！
チョココーティングの柿ピーと、
あ！チョコポテトチップスもいいですね！」


土「……っっく、っはははは！！！！
お前、それ結局チョコだけじゃねぇか！」




すっ…


わしゃわしゃ。




「…っっっっ！！！？」




土方さんが、顔をくしゃくしゃにして
大笑いをしている。


その手を伸ばし、
わたしの髪を撫でながら。








ねえ、今



聞こえてしまっただろうか。




わたしの
心臓の音。




煩く喚いたその音は
わたしの全身を熱くさせ、
きっと、今わたしは顔が赤いだろう。


暗がりでよかった。







土方さんの大笑いが収まり始めると
その指を優しく髪に絡めたまま、
くくく、とわたしの眼を見つめ




土「ほんと、Aは面白ぇな」




と言った。








わたしは、訳も分からず
涙が溢れそうになるのを
必死に堪えた。





無性に、




1人分の間が空いている
わたしと土方さんの距離を
縮めたくなった。

艶々と揺れるその髪に
わたしも
触れたくなった。

笑って細めたその三白眼に
わたしをこのまま、
映していたくなった。





返事が上手く、出来ず
照れ笑いを浮かべて誤魔化す
わたしの







唇の端。




漏れる息が、






おかしな言葉を纏う前に









震える唇を
今すぐ、閉じて。

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