vous chéri(×in)

Because I like it ....(ybin) ページ44

大学生薮くんと、叔父の伊野尾くん


(yb side)
俺には、好きな人がいる。

｢ねぇ、薮くん｣

あと数年で40歳になるってのに驚くほど綺麗な人。

｢用がないなら帰りなよ｣

だけど、その人は男で、俺の叔父だ。

｢ちょっと、聞いてる？｣

それが俺の目の前にいる人。

｢聞いてますよ。帰りません｣
｢はぁ…帰らないなら帰らないでいいよ？ 俺はもう帰るし｣
｢じゃあ俺も帰ります。一緒に帰りましょ｣
｢なんで薮くんと帰らなきゃいけないの。俺は一人で帰るから｣

初めて会ったのは大学の研究室。

サークルの先輩を待っていた時、先輩が所属していた研究室から出てきたのは先輩ではなく綺麗な人だった。

完全に一目惚れをした俺は、先輩からあの綺麗な人だれですかって根掘り葉掘り聞き出した。

教授で、名前は伊野尾先生。

もう少しで40だよ、と聞いた時はかなり驚いた。

だって、どう見ても20代…いや、10代後半に見えても仕方ないくらい綺麗で可愛い人だったんだから。

でも俺が専攻してる授業に伊野尾先生のはなくて、だから先生が自分の研究室に入っていったのを見計らって続けて中に入った。

驚いた顔してたけど、用があるならまずノックしてよ、と怒られたっけ。

そんな言葉を無視して俺は先生に詰め寄り、


"先生のことが好きです。俺のこと好きになってください"


って、今考えればかなり大胆な行動をしたもんだと思う。

それ以来先生の研究室に通い詰めてるんだけど。

｢はやく出てよ。大切な資料とかあるんだから、いつまでも中にいられると困るの｣
｢一緒に帰る気になってくれました？｣
｢ならねぇよ。いいから出ろってマジで｣

たまに出る口の悪さ。

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