vous chéri(×in)

My beloved cat(ybin) ページ37

(yb side)
メンバー全員が7の楽屋にいる中、俺は一人BESTの楽屋で本を読んでいると、微かに聞こえてくる寝息。

…俺以外いないはずなんだけど。

恐る恐る振り向けば、メンバーの上着がかかっているハンガーラックの下にうずくまっているやつが一人。

気持ち良さそうにすぅすぅと寝息を立てて、器用に体操座りのまま寝ている。

なんであんなところで寝てんだ…。

近付くと、俺の上着を肩からかけてるではないか。

｢……伊野尾｣

軽く、肩をトントンと叩くと、小さく震えるまつ毛。

もう一度名前を呼べば、うっすらと目を開けて、まだ完全に起きてないのかとろんと蕩けている。

｢や…ぶ…？｣
｢おう、俺。なんでこんなところで寝てんだよ。寝るならソファにしろって｣
｢んぅ……｣

小動物のように目をクシクシと擦って、ふわぁっと欠伸をしたと思ったら、俺の方にもたれかかってきた。

というか抱き着いてきた。

｢伊野尾？｣
｢寒いから温めて｣

一応暖房付けてんだけど、伊野尾にとっては設定温度低過ぎたかもな。

｢温度上げるか？｣
｢んーん、いい…それより薮が温めて｣

顔を上げ、上目遣いで俺を見詰めてくる。

あざとい仕草だって分かってるのに、こうも可愛く思ってしまうのは惚れた弱みか。

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