Two wings ページ2
＿＿＿そして時は今。
「三年八組の菊池健太！きっくんって呼ばれてるんだけど……、知ってる？」
「あぁ、知ってるとも。校内でとても人気の様子だからな」
「ならよかった、俺のことはきっくんって呼んで大丈夫だから！ところで、この翼のこと……。何かわからないかな。俺じゃあなんの知識もないからどうしようもなくって」
「ミステリー研究部員なら何かわかるかと来たわけか……。なかなか鋭いみたいだな」
神社の生まれなのでそういうモノは視えるのだが、私の周りに寄ってくるモノ達はどうしてか可愛げのかけらもないような醜い見た目だった。
そんな中、初めて半分憑依された人間の姿の美しいモノを見たもので少し感動の中にいた。
これに関しては菊池君の容姿が優れているということもあるのだろうが、憑依された人間は少々妖艶さを増すらしいのでこの美しさの半分ほどは元来きっくんが持ち合わせているものだろう。
「一昨日、土曜日の夕方一六時くらいからコレが出てくるんだ。朝になったら消えてる」
「翼の形が鳥のソレだ、きっと堕天使ではなく鴉だろうな」
「どっちにしろもう短いってことはわかる、一昨日よりも眠気が酷い。あと浮遊感も」
「それは不味い。何かしらの病院には行ったのか？まだ行っていないのなら……」
「行ったよ」
私の言葉を遮り、静かな声で彼は言った。
その表情はどこか寂しげで、でもどこか余裕を持っているように見えた。
「精神科を紹介された。背中に翼なんか見えない、きっと何か異常を来しているんだってさ」
「そうか。それならば」
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作者名：葵巳 | 作成日時：2018年10月25日 23時
