立ち入り禁止

立ち入り禁止 6 ページ26

「私がいけないの…事故に遭わなければ」

自分を責め立てるように何度も繰り返し呟いている。

「私が死んでから家族は何も手がつけられなくなった。

いつも見守っていたのに何も助けられない自分に腹が立った。

此処に居るのに皆私の声、姿に気付きもしないで日々が過ぎ去った。

そんな時、ホテルを取り壊す事を知ったわ」

キッと此方を睨んだ

「まさか、取り壊すおじさん達が私の事を見えたり聞こえたりすることが出来るなんて予想外だったよ…」

再び口角を上げた。

その姿に背筋が凍りつく

「本当は、工事中に邪魔しようとしてたんだけど予定変更よ

さっきの話の続き…私の遺体まだ、見つかってないのよ」

彼女は事故で亡くなったと言っていた。

ということは、車に轢かれたわけではないのか

「別におじさん達に探してほしい訳じゃないの…貴方たちは人質なんだから」

ガンッ

何か鈍い音が響いた。

「良かったね！また、人質が増えたよ」

鏡の中から出てきたのは＿＿＿

「愛実ちゃん！？」

息子の友達の愛実ちゃんだった。

「あれ？おじさん？なんでここに…って、此処何処ですか？」

混乱しているのか頭を抱えて何をしていたのか必死に思い出そうとしていた。

「フフッ…まだ、これからよ？」

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