この手を離すな【銀魂】4

軽さも冗談も : 土方 ページ17

威「なるほどね。
Aは元遊女だったのか。
道理で、話しやすいと思った。
あー、惜しかったなぁ！」


「惜しかった？」


威「だって、今も遊女だったら
朝まで楽しませてくれたってことでしょ？
超惜しいよ。VIP待遇はないの？」


土「ある訳ねぇだろうが！！
酒入ってるからって、俺がいる以上
Aには触らせねぇからな！」


威「何なの、さっきから。
ほら、もっと飲みなよ、ね」


「あ、ありがとうございます。
いただきます」


土「お前にじゃねえよ！！
ったく、ほんとにお前は酒が強えな」


「…ごくっ、そうですね。
仕事柄、水のように飲んでいたので」



Aを真ん中に
屋台で飲み始めた、俺らは
まるで誰かの潰れ待ちみてぇに危うい。
こんなんで潰れっほど、柔じゃねえし
こいつから目を離す訳にもいかねぇがな。



土「で、ほんとのところ
なんで地球にいんだ、お前。
鬼兵隊と高、」


威「だからぁ、酒が入ったって
その話はしないよって。
あんたこそ、何なの？
Aの彼氏？」


土「っごほ！？げほっ、ごほっ！！」


「わ、大丈夫ですか！土方さん！
もう神威さん、変なこと言って
土方さんを困らせないでください」


威「え？違うの？
じゃあ、なんでこんな口煩く
言われなきゃいけないのさ」


「土方さんはわたしの上司です」


威「？遊郭やってんの？」


土「やってるかぁぁ！
警察だって言ってんだろ！？
うちの女中をしてんだよ！」


威「それ何？」


「お世話係みたいなものです」


威「夜の？」


「えーと、朝から晩までの？」


土「おかしな言い方をすんなぁ！
家事手伝いをしてんだよ！」


威「あ、なるほどね。
へえ、一日中一緒にいて
何ともならないの？相手がAなのに？
あれ？君もしかして、そっち？」


土「違えよ！なんでそういう方向に
毎回話が行くんだよ！」


「ふふ、…土方さんには
わたしでは、子ども過ぎますよね」


土「え、」


威「…」


土「…や、別に、そういう、訳で…は、」


威「…」



ぽんっ



土「いや、どんまい！じゃねえよっ！」



憐れみと慰めの眼と手を払い除けながら、
酒をくいっと飲み干す。

…


そんな風に思われてたのか。
Aは年齢など、気にする奴じゃないと
勝手に思い込んでたけどな。
隣でころころ、楽しげに笑うA。
神威の軽さも冗談もテンポも
Aにしてみれば、
居心地が良いものなんだろうな。
横顔がいつもより、あどけねえ気がする。
少しだけ、居心地が悪ぃ。

疑問しか浮かんで来ねぇメンツ : 銀時→←食べちゃいたい : 土方

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す