この手を離すな【銀魂】4

恩知らず : 銀時 ページ34

藤「おい、一体いつまでかかってる。
飯の時間だ、さっさとしろ」



藤野は俺を呼びつけ、
離れに繋がる縁側に並んで座る俺に
ぽいっと簡単な弁当を放る。



銀「いただきやす」


藤「まだ終わってねぇなら、
さっさと食って続きやれ」


銀「へいへい。…あー、
藤野さんはここ長いんすか？」


藤「ああ、もう10年になるか」


銀「そりゃ、古株っすね」


藤「屋敷にいる奴らは皆、古株だよ」


銀「ああ、新聞にも載ってた、側近の子。
あの若い子も長かったらしいっすね」



平太のことを口にすると、
藤野は箸を止め、キッと俺を睨みつけた。



藤「裏切者の話は出すな、飯が不味くなる」


銀「裏切者だったんすか…、
あーだからなんか足？切られたとか」


藤「ふん…当然の報いだ。
今までの奴らと同じだったな」


銀「今までの奴ら…？」



藤野はああ、と何てことない顔で言いのける。



藤「今までも裏切者には制裁を与えていた。
そもそも、ここで働かせてもらってる奴らは
俺も含め、四辻様に命を救われた。
クソみてぇな親や環境から救い出し、
人間として尊厳を与えてくれた。
ここから逃げ出そうとする奴なんか、
頭がおかしい、恩知らず。
そういう奴らにゃ、制裁として罰を与えんのさ」



飯が不味くなる話を、どっちがしてんだか。
信教とはまさにこれのこと。
てめぇが口走ってることが
いかに頭がおかしいか、分かっちゃいねえ。



銀「へえ、どんな制裁を？」


藤「あー…、
まあ逃げ出そうとする奴の足をやったり、
行方知らずだった家族や親族が見つかって、
ここを出ようとする恩知らずの前で
家族に、世話した分の生活費を請求したり、
女であれば、吉原に売り飛ばしたり…
色々だな。その後、どうなったのか
誰も知らねぇ奴もいんなぁ」


銀「行方不明ってことか？」


藤「さあな。神隠しにでもあったんだろ。
四辻様は道理を通せと言っているだけ。
助けてもらった上に働かせてもらってんだ。
当たり前だろ」


銀「警察には、」


藤「言うわけねぇだろ、あんな無能共に！
暗黙の了解で皆四辻様のご意向を
今尚汲んで、生きてんだ。
お前も四辻様に憧れてる口だろ。
さっさと逢えるといいなぁ。
本物はまるで人じゃねえみてぇなオーラだ」


銀「…あの獄門はほんとなんすか」


藤「っは！それが万が一、事実だったとしてもだ。
四辻様なら何一つ証拠なんか残してやしねぇよ」


銀「…四辻様の部屋はどこっすかね？」


藤「入れる訳ねぇだろ、バカか」

悩み : 土方→←なのは、 : 銀時

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