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損 : 沖田 ページ6

「どうぞ」


沖「は?」


「え?」



大きな眼で俺を見下ろすA。
その眼は、底知れぬ宵のように
藍黒く、白い肌と相まって
眼を逸らせ無くなっちまう。



「…お団子ですけど」


沖「ほんとに買って来たんで?」


「要らなかったんですか?」



俺の言葉に少しだけ、眉間に皺を寄せる。
人形みてぇだと思ってやしたが
感情はきちんとあるみてぇで。



沖「要るに決まってまさぁ。
あの土方がほんとに買ってくれるとは
思わなかったんでぃ」



差し出された、団子の袋を受け取る。
取り出そうとしていると、



沖「おい」


「?はい」


沖「どこ行くんでい」


「お団子を渡したので
仕事に戻るのですが…」


沖「だめ」


「だめ?」



再度、眉間に皺を寄せるAに
縁側に座る俺の隣を
ぽんぽんと叩き、呼び寄せる。
Aは不思議そうに
でも素直に俺の隣に座る。



沖「俺が食べ終わるまでここにいるんでい」


「…なぜでしょう」


沖「ほれ」



納得いかない様子のAの目の前に
団子を一本、差し出す。



沖「ひとりで食ってもつまらねぃ」


「すみません。大丈夫です」


沖「大丈夫?」


「土方さんにわたしの分も
買っていただいたので。
それは総悟さんの分です」


沖「…へえ」



差し出した団子を
むしり取るように食す。



沖「ずひぶふと、あみゃやかしゃれてま」


「?なんて…?」


沖「…ごく、あ、やっぱ
ここの団子、うっま」


「…よかったですね。
あの、仕事に戻っても?」


沖「だめ」


「…はい」



困り顔を団子を頬張りながら
じっと見つめる。
どこか、人形みてぇと感じていたのは
整った顔のせいだけじゃなさそうで。



沖「そうやって…
壁を作るのが、遊女のやり方なんで?」


「…!」


沖「…んにゃ、
あんたのはもう無意識か。
禿からやってたんだろい?
んな急に変われるものでもねい。
でも、ここに居てぇなら
その借りてきた猫みてぇな
いい子ちゃん面はやめるべきでさぁ」


「そんなつもりは、」


沖「ねぇだろうねぃ。
だから言ってんでさぁ。
ここにいる奴らはてめぇ差し置いて、
他人を慮るアホばかり。
気に入られてんなら、
少しは考えてやってくだせぇ。
いじけられても面倒な野郎なんでねぃ」


「…?」


沖「それと、ドSコンビも
ナイーヴなんで
そこんとこ頼んまさぁ」



ご馳走さん、と立ち上がり
Aを残して立ち去る。

優しく諭すのは、
どうせ俺の役割じゃねぇんだろぃ。
ほんと損な役回り。

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美雨(プロフ) - シリアス系の人さん» 更新が滞っていたのにコメントいただけて、嬉しいです!ありがとうございます!ゆっくりにはなってしまいますが頑張ります!! (2019年6月23日 22時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
シリアス系の人 - いつも見てます!更新頑張ってください! (2019年6月23日 19時) (レス) id: 3f134b9658 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美雨 | 作成日時:2019年5月19日 23時

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