この手を離すな【銀魂】2

もう一度 : 土方 ページ33

ばさっっ



土「はああぁ」


山「副長、少し休まれてください。
四辻を捕まえてから
何日、寝てないと思ってるんですか」


土「全く吐かねぇし、
文字通り、掘っても掘っても
証拠は出てこねぇ。
…骨の一本でも遺ってればいいが」


山「四辻の獄門は必ず、証明できます！
そうすれば、弁護士もつけられない。
このままじゃ、副長倒れちゃいますよ」



心配する山崎をよそに
書類が山積みになる机に突っ伏す。



土「問題はそれだけじゃねぇだろ…」


山「…ええ。
副長の睨んだ通り、
今の四辻家にAさんの味方はいません。
むしろ、今戻られても
同じような目に合うかもしれないし、
もしかしたら、吉原にまた…」


土「だろうな。
どいつもこいつも、証言もしねぇで
だんまりだ。っんとに、宗教かよ…。
……あいつの、平太の足も
四辻じゃなきゃ治せない、
ギリギリを切られているらしい。
上に頼んでみたが、
腕の良い医者でも難しいそうだ…」


山「……そんな、」


土「平太には相当、
お冠のご様子だったかんなぁ。
旦那さまとやらは…。
手術をさせられたとて、
んなギリギリを素直に治すとは思えねぇ」


山「そうですね…。
ふたりが退院した後のこと、
もう少し考えないと」


土「……ああ」



考えねぇと。


平太は今回のことで
気付いたかもしれねぇが、

Aは、まだ…


いや…、無意識的に
刷り込まれたのかもしれねぇ。
刷り込まれる前から、んなモノ
持ち合わせてるなんて、
考えてもいなかったのかもしれねぇ。





わたしなんかの為に





土「………」


山「副長‥？」


土「っとにかく、全部引き続き、やんぞ。
……面会時間、何時までだった」


山「え、…ああ。19時までです」


土「わぁった」


山「取り調べですか？」


土「一人で行く」


山「調書取るなら
俺も行った方がいいですよね？」


土「……いらねえ」


山「え？」


土「お前は駿河に行ってる、
六番隊の様子を聞いておけ。
少しでも何かあれば、連絡しろ」


山「あっ！はい！わかりました！」



時計を横目に上着を取り、
いってらっしゃい、と言う
山崎の声を背に自室を出る。



俺がいくら考えたとて、
きっと根付いたモノは
そう簡単には動きやしねえ。
でもだからと言って、
このままでいいとは
どうしても思えねぇんだ。

邪魔な天パはいたがよ。
俺の記憶に残る、
心から笑ってたであろう
あの顔を
もう一度、見てぇ。

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