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必然、 : 平太 ページ25

ただ必死だった。



ただ、必死に
足を動かした。




夜は冷え行くのに、
額には汗が流れ
息が切れた。



どれだけ、踏ん張っても
耐えて見せても
力は上手く入らず
引き摺る足から血が滲み、
傷口に入り込む、
砂利が痛みを増させる。



それでも止まる訳にはいかなかった。
見つかる訳にも、捕まる訳にも



偶然、
そうだったけれど
俺があそこに居合わせたのはきっと
必然、
だった筈だ。



あの鎖は戒め。
あんな話を聞かされて、
今までのように振舞える筈がない。
彼女の足が、こうなるのも
時間の問題だ。






だから、今は







ずざぁっ







平「っ…おわっ!?」







"派手に動けば、私でも元に戻せなくなるぞ"







躓き、転び
自分の足の甲からも腱からも
血が溢れ出していることに気付いた。
旦那さまの声が頭で響く。






平「…ぐっ!」





立ち上がろうと踏み締めると
吹き出す血にもはや、無頓着になりながら
目指すのはあの橋を越えて、






ずっと憧れていた。
羨望の眼で、いつも見ていた。

俺は絶対に、あの雨の日を忘れない。

水溜りに顔をつけ
降り頻る雨で溺れそうになりながらも、
もう身動きひとつ出来なかった俺に
手を差し伸べてくれた。
死に行くことに恐怖などない。
そこには、辛うじて憎悪があるだけで
水溜りに滲む自分の血だけが鮮明だった。

そんな死に損ないを拾い上げて、
まるで父のように兄のように、慕わせてくれた
あの人の、支えになりたかった。
でも、何年経っても
それにはなれなかった。
なれないのだと、理解した。
あの人は誰のことも本当は望んでいない。
下人に慕われ、部下に愛され、町民に信頼されても
あの人は、誰のことも信じてなかった。




彼女が現れて、
あの人の優先順位に
少しだけ変化が出て
安堵していたのに、
あの人は結局、彼女さえも
いや、そもそもそんな感情を
持ち合わせていない彼女だからこそ
きっと、



?「おい、お前。何して、」


平「っ!?」



這い蹲るように歩く俺に、
突然降り掛かった気怠い声。
声の主は俺の足を見るなり、
その眉を顰めた。
暗がりで一眼では分からなかったが

その服装を見て、俺は駈寄る。



平「っお願いします!!!」


?「おい、何でい、いきなり。
その足、誰かに追われてん、」


平「あなた、真選組ですよね?!」



叫ぶように肩を掴んで問うと、
ああ?と面倒そうに言い捨てた。



沖「真選組一番隊隊長、
沖田総悟でさぁ。
何か御用ですかい」

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にじゅまるる(プロフ) - 美雨さん» いえいえ!!こちらこそ修正してくださってありがとうございました!!(°▽°) (2019年5月1日 9時) (レス) id: dfaa12cf19 (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - にじゅまるるさん» あわわわ…!何故に三番隊!笑 完全に間違えていました!ご指摘、わざわざ、ありがとうございます!!修正させていただきました! (2019年5月1日 0時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
にじゅまるる(プロフ) - こんにちわ^^!!少し聞きたいことがあるんですが、三番隊隊長は総悟じゃなくて終兄さんじゃないんですか?もし私の間違いであればごめんなさい…けれど気になったので… (2019年4月30日 15時) (レス) id: dfaa12cf19 (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - 夏終朝凪さん» 嬉しいお言葉ありがとうございますっっ!!これからもう少し銀魂世界寄りになっていく予定なので、引き続き楽しみにしてもらえたらと思います!コメントありがとうございます涙 (2019年4月16日 23時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - 続きが気になります!とても読みやすいですね!更新楽しみにしてます!(*´▽`*) (2019年4月16日 21時) (レス) id: 06ec7af5b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美雨 | 作成日時:2019年3月29日 0時

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