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身震い ページ1

夜に眠る。
当たり前のことを、生まれてこの方
まともにしたことがない。
身体は眠いのに、頭がまだ順応しない。

暗い自室でひとり、
大きなベッドで眼を閉じる。

静かだ。
夜って、こんなに静かだったんだ。
いつも賑やかな声や音楽に囲まれてたから
少しだけ、今は夜が怖い。



そんなことを思っていると、
すぅ、と一筋の明かりが部屋に指した。
かちゃん…と小さくドアが開かれまた閉じられた。
きし…と床が軽く軋む音がして、
ふわ、と彼の匂が掠めたと思ったら
頭を優しく撫でられた。



「……四辻さま?」


四「悪い。起こしてしまったか」


「いえ、眠れなかったのです」



暗闇に慣れていたわたしの眼は
わたしの眼の前に
しゃがみ込んだ四辻さまを
ぼんやりと捉えた。



四「どうした?何か心配事か」


「いえ。不慣れなだけです。
お仕事、お疲れ様でした。
四辻さまこそ、早く休まないと」


四「ああ。休む前にAの顔を見て
触れておきたかったのだ。
Aがいなければ、眠りにもつけん」


「ふふ、大袈裟ですね」


四「大袈裟なものか。
ずっと…私を支えてくれていたのはお前なのだよ。
今、こうして一緒に過ごせるようになって、
ほんとは仕事など全て放ってしまいたい。
やっと、私のAにすることが出来たからな」


「…四辻さま……。
わたしにお手伝い出来ることがあれば
言ってくださいね!」


四「ははは!ありがとう。
こうして、話し触れ合えていれば充分だけどな」



四辻さまは笑いながら、
愛おしそうにわたしを撫で続ける。



「明日もお仕事ですか?」


四「ああ。だが、少し早く帰れそうだ」


「では、わたしが美味しいお団子を
買いに行ってきます!」




あ。


前にも感じたこの感覚。
四辻さまの眼の奥に鋭さを感じた。
わたしはこの眼に触れると何故か、


しまった。


と思ってしまう。
今回は理由に検討がつかないのに。


そして、その眼は一瞬で消え
またいつもの優しい眼に戻る。
まるで幻覚でも見たように。



四「そういうことは下人にさせたら良い。
Aにはまず、私の身の周りのことを
覚えてもらう方が先かな」


「…そうですね、わかりました!頑張りますね」



四辻さまはぐっと握って見せた、
わたしの手にキスを落とし
また明朝、ゆっくり話そうと
髪を撫で、立ち上がった。
おやすみ、と言いながら離れ難そうに
部屋を出て行く。

わたしは何故か少しだけ、身震いをした。

完璧 : 銀時→



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にじゅまるる(プロフ) - 美雨さん» いえいえ!!こちらこそ修正してくださってありがとうございました!!(°▽°) (2019年5月1日 9時) (レス) id: dfaa12cf19 (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - にじゅまるるさん» あわわわ…!何故に三番隊!笑 完全に間違えていました!ご指摘、わざわざ、ありがとうございます!!修正させていただきました! (2019年5月1日 0時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
にじゅまるる(プロフ) - こんにちわ^^!!少し聞きたいことがあるんですが、三番隊隊長は総悟じゃなくて終兄さんじゃないんですか?もし私の間違いであればごめんなさい…けれど気になったので… (2019年4月30日 15時) (レス) id: dfaa12cf19 (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - 夏終朝凪さん» 嬉しいお言葉ありがとうございますっっ!!これからもう少し銀魂世界寄りになっていく予定なので、引き続き楽しみにしてもらえたらと思います!コメントありがとうございます涙 (2019年4月16日 23時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - 続きが気になります!とても読みやすいですね!更新楽しみにしてます!(*´▽`*) (2019年4月16日 21時) (レス) id: 06ec7af5b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美雨 | 作成日時:2019年3月29日 0時

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