ひみつ ページ17
.
食欲がなかった。だから朝ご飯を食べなくて、今はもう栄養がないからフラフラな状態だ。
あ、やばい。目がチカチカする。座っていても授業を受けられる気がしない、すごく倒れそう。
でも隣はショッピ、気まずいままだから迷惑かけられないし、ましてや倒れたら元気ないのがバレちゃいそう。
と思っているのに体は言うことを聞かず、ずるっと机に置いた手が滑って、体が横に傾いて、肩が床に当たった。私、倒れちゃったんだ。
周りはザワザワしていたけれど、どんどんその声が聞こえなくなる。心做しかショッピの声が聞こえたような気がしたが、そこで私の意識は途切れた。
.
ツンと鼻にくる独特な、消毒のような匂いで目が覚めた。
視界に入るのは、白。周りを見渡すと怪我をした時によく通う保健室だ、と理解した。
そしてキョロキョロしていた私とぱっちり目が合った、茶髪の彼。そう、ショッピだ。なんでここに？という疑問が頭の中をぐるぐる渦巻く。
困惑しているのを察して、ショッピが口を開いた。少し緊張で体が強ばってしまう。
「優里…」
「な、に」
「小林と、別れた」
嬉しいのかそうではないのか、俯いていたので声だけでは分からない。でも『別れた』という言葉は、私の頭を鈍器でガツンと殴ったくらい衝撃を与えた。
ゆっくり顔を上げれば、泣きそうなのを堪えて優しく微笑んでいる。その顔を見た瞬間、私の頬を1滴、涙が零れ落ちた。
「っしょ、しょっぴ……」
「ごめん。俺、ほんまにアホやった」
「私もごめんね…。ショッピのこと、全然考えてなかった」
「そんなん、俺も優里のこと考えてへんかった、ってずっと思っとったよ」
「───あのね、まだショッピがいいなら私、」
待って、とショッピが言った。えっなに…？
ショッピはふーっと深呼吸をして、綺麗な紫色の瞳を細めて言った。
「優里。
俺ともう1回、付き合ってください。優里のこと、ずっと頭から離れんかった。誰よりも好きや」
「……私も、ショッピのこと、誰よりも好き。いっちばん好きっ」
ショッピは私の肩をそっと抱きしめた。安堵で涙が止まらない。顔がぐちゃぐちゃだ。
手で私の涙をすくい、泣きすぎ、と大好きな笑顔で言った。
そして、私の目を見て、今までで1番優しいキスを唇に落とした。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 567人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かえち
| 作成日時：2019年7月1日 17時
