ひみつ ページ16
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「1ヶ月経ってへんけど、やっぱり別れたい」
今度は、何を言われても付き合い続ける気はない。
真っ直ぐ小林の目を見れば、驚きで目を白黒させている。そして引き攣った笑みを浮かべた。
どうせまだ別れないでとか、お願いだからとか言うんやろーな。
泣いたとしても、絶対に、別れる。だから遠慮なく言って、嫌われた方がええよね。
「ど、どうして？なにかダメ…だった？」
「俺が小林のこと、ダメ」
「…なにそれ………。私より優里ちゃんが好きなの！？」
「そうやから別れるんでしょ。てか俺、小林のこと嫌いやし。勝手に付き合わされて迷惑なんやけど。優里に変なこと言わんといてよ、ほんま」
わかりやすくはぁ、とため息をつけば、顔を真っ赤にさせて怒っている。その怒りで肩も震えるくらい、だ。
もう俺のことが嫌いになったのか、悪口を言いながら教室から出て行った。最低、と言いながら。
まあ別に、優里から嫌われなければいい。それに最低と言われる人間は、俺にとっては小林の方だと思う。
人の彼女を散々傷つけて、どの口が言うんやろ。俺はやれやれ、と肩を落とした。
「はー…。やっと、終わった……」
一気に脱力感に襲われた。肩が軽くなった気もする。
ぐーっと腕を上げて力を抜いたら、気分が良くなった。今日は言えなくても、明日優里に伝えられるはず。
やっと別れることができた。ここまで長かったな。なんで今までこうやって言えなかったんやろ。ちょー最高。
そんな清々しい気持ちになりながら俺も教室から出た。
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「ショッピくんーどうやった？」
「普通に別れた。もう俺に話しかけんのはなくなるやろ」
「流石やなー！」
彼女(小林)と別れられない、と相談していた友人、チーノに別れたと一応報告をする。
何が流石なのか、全く理解できない。別れたい人と別れるのは当然のことでしょ。
でもチーノは俺の相談を結構真面目に聞いてくれていたので、それは感謝する。
そして恐らく、優里が好き。絶対渡さへんけど。
チーノには目で威圧をかけとるから、多分大丈夫。優里もチーノは恋愛対象として見ていないだろう。俺以外は好きにならへん、という自信が、どこからともなく出てきた。
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作者名：かえち
| 作成日時：2019年7月1日 17時
