story1-10 ページ16
ユノは嘘をつけない。
だからあの時はホントに何とも思ってなかったんだろうと思う。
でもやっぱり自分の勘も正しかったんだってもうすぐ実感することになる。
そう、この扉を開いたら。
「あ、ジェジュンここ」
カフェというより喫茶店って言った方がいいカンジの店。
重い木の扉を押して入るとコーヒー豆を挽くいい香りがした。
「ユノ、なんかあった？。。え？」
あの日、あの喫茶店に流れていたのはジャズでもなく古い昭和歌謡と言われるものでもなかった。
ピアノの旋律でユノが何か言ったのに聞こえなかった。
なのに君の声はいまだに耳に残ってる。
「こんにちわ」
「あ。。こんにちわ」
薄茶の長い髪をポニーテールにして毛先がふんわりとカールしている。
口紅というより色付きのリップ。
今時のメイクじゃないのがいかにもユノが好きそうな感じなのにその時はユノがどうして君を俺に合わせようとしたのかも気づかないで、ただ君から目が離せないでいた。
「何にする？」
「え？」
「同じでいい？」
「あ、うん」
ユノが同じものといえば飲んでるものも分かるし好みは似ていた。
それはもしかしたらコーヒーだけじゃなかったのかもしれない。
今になって思えばだけど。。。
「ま、そういう事」
コーヒーを飲んで自己紹介とか天気の話とかしてたのに急にユノがそう言った。
あれ？今の流れってまるで自分のお見合いみたいな気分だったけどどうやら違うんだ。
なんだ、違うんだ。
「。。そんな言い方良くないよ」
「え？」
「まぁそういう事って、なんか。。大事な感じがしない」
言ってしまってから空気を重くしたってことに気づいた。
「あ、ごめんね」
ユノがすぐに君に謝った。
「うふふ、ホントですよ。ジェジュンさんの言う通り」
君のその言い方で男二人が救われた。
そんな事にも胸が痛くなりだした。
なんでだろう？
胸が痛くなるなんて。
好きなのとは違う。だって胸はドキドキなんてしてないから。
「付き合いたいって思ってるんだ」
ユノが背筋を正してそう言い直した。
「まずはジェジュンに言っておきたくて」
俺が何も言わないからユノは続けてそう言った。
「。。おめでとう」
何を言えば良かったんだろう？
でもそれしか浮かばなかった。
笑顔の二人を見ながら後悔じゃないけどなんだか変な気分だった。
。。何の香りだろう？
コーヒーじゃない。
香水でもない。
懐かしいような悲しいような、そんな香り。
それは君の香りだったんだ。
story2-1 私の話 9月22日更新→←story1-9 ジェジュンの話 9月18日更新
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yuna(プロフ) - ファントムさん» ただいま戻りました！ありがとうございます。私もアイノカタチに思い入れがあって続編を書きたいんですが中々思うようにいきませんね。とにかくこれと書きかけのものを終わらせるのが目標です！よろしくお願いします!(^^)! (2019年9月7日 23時) (
レス) id: 631424b5d2 (このIDを非表示/違反報告)
ファントム(プロフ) - お帰りなさい。アイノカタチは私がウラツクにハマったキッカケのお話でした。泣きながら読んでました。またyunaさんのお話を読めるのが嬉しいです。無理なく更新して下さいね。 (2019年8月31日 2時) (レス) id: 3983c3a52d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yuna
| 作者ホームページ：http://blog.goo.ne.jp/kecyabulnts
作成日時：2019年8月30日 21時
