Trick and Treat.【USSS】 (ページ6)

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脚長いなページ6

Side:A

「……あのさぁ。もっと速く歩けへんの？置いてくで」

「えっ、あ、す、すみません！」

……ていうかこの人、すごく足長いな。
歩幅が1.5倍くらいあるし。私悪くない。

「…………。」

「…………。」

……気まずい。
なにか会話しなきゃ……

「……えーっと、紫髪さんがおっしゃってた、“船長”って、」

「志麻さん、でええで。
船長か、うらたさんやな。ルシフェル……言うてもわからんか。堕天使って言うたらわかる？」

「だ、堕天使のコスプレの人……。真ん中わけの前髪してた方ですね？」

「そやで。ま、コスプレちゃうけどな」

「へ？…………ぶがっ」

いきなり志麻さんが立ち止まった。
危うくぶつかりそうになった。あぶない。
どうやら着いたようだ。

志麻さんがコンコン、と扉をノックすると、その向こうへ話しかけるように、大きめの声で

「うらたさん、ニンゲン連れてきたわ」

と言った。
すると、扉の奥から

「ん、入っていいよ」

と、声が聞こえた。
噂の堕天使の船長、うらたさんだろうか。

……堕天使、ってすごい厨ニ臭いな。

……ん？

なかなか志麻さん、中に入らないな。
ちら、と志麻さんの顔を見る。

すると、険しい顔でこちらを見ていた。
な、なぜ

すると、顎でくいっと扉の方を指す。

……ま、まさか、

「えーっと……？」

「はよ行けや、船長待たせんな」

で、ですよねー……。

いまさら抵抗する気持ちにもなれず、とりあえず扉の前に立つ。

一応振り返って志麻さんを確認する。
いかにもイライラしているような表情。

……これ以上待たせると怒りそうだな。
もう怒ってるかもしれないけど。

自分を落ち着かせるために一度息を吐いて、恐る恐る扉を開ける。

そこには、いかにもな部屋が。

色褪せた地図に、大きな地球儀。
真ん中には重厚な机に、宮殿にでもありそうな、高そうな椅子。

そしてその椅子には、船長うらたさんが。

「―――よォ、ニンゲン」

「……こ、こんにちは……」

……今の私の顔、絶対引きつってる。