Trick and Treat.【USSS】 (ページ24)

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怪しい男ページ24

Side:A

向こうで、坂田さんと背の高い青髪の人と、楽しそうに話していたのが見えた。

……なんだか私を放っておかれた事実にだんだんムカついてきたな。

うらたさんに怒られてもしらねぇぞこんちくしょう。

なので腹いせにご飯を食べることにした。
声は出ないものの、口は開けれるみたいだし。

取皿をもって、長いテーブルへ行く。
肉から魚、野菜までなんでもある。すごい。

いくつか、私が食べれそうな料理を取皿に取る。おいしそう。

ゆっくり食べたいな、と思い、それを持って、窓際の椅子に腰掛ける。

いただきまーす、と食べようとしたそのとき、

「……どうも、お嬢さん。こんばんは」

と、声をかけられた。
細身で長身の、深い帽子をかぶった男の人。
その帽子の影のせいで、目元はよく見えない。

……誰だろう、誰かの知り合いかな。

しかしあいにく声は出せないもんだから、軽く会釈をすることしかできなかった。

「こんなお綺麗なお嬢さんが壁の花だなんて、どうされたんです？あ、もしかして僕のお誘いを待っていたとか？ほんなら嬉しいんやけどなぁ……」

……あ、関西弁だ。
それならもしかして、誰かの知り合いだろうか。

身振り手振りでなんとか、彼らの知り合いかを聞こうとする。

すると、ちょっと違うが察してくれたようで、

「……あれ、もしかして声、出ないんです？」

と言ってくれた。それにこくこくと頷く。
すると、ふぅんと少し考えるような素振りを見せて、

「なるほど、それなら、」

ずい、と耳元で

「俺も人間やねん、一緒に抜け出さへん？」

と提案をしてきた。
……でも、私が太らなきゃ食べられないし、別に今の生活に不便しているわけではないから、抜け出す理由は無い。

「とりあえず、うちの所に来ぉへん？俺の仲間が居るんよ、それからでも遅くないんちゃう？
君も、いつ食われるかわからへんし。あいつらなんか獣やで、腹減ったら食われるわ」

その男の視線は、私をひどく心配しているように思えた。
……まぁ、話くらいならと思って、私は頷いた。

「ん、じゃあ行こうや、あいつらには内緒やで」

手を引かれ、バルコニーに連れ出される。
バルコニーに仲間の人がいるのかもな、と思っていたのだが、誰もいない。

「……じゃ、舌噛まないように口閉じとき」

えっ、

その瞬間、彼は私を抱えてバルコニーから飛び降りた。

その様子を背後で見ていたのは―――